- 2026-5-22
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皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループベトナム拠点の清水信太です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「【2026年最新動向】ベトナム駐在員の給与は現地法人から支払える?社内異動者の給与負担・WP・社会保険リスク」についてお話していこうと思います。
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【2026年最新動向】ベトナム駐在員の給与は現地法人から支払える?社内異動者の給与負担・WP・社会保険リスクを解説
ベトナムに進出する日系企業では、日本親会社からベトナム現地法人へ派遣される駐在員(社内異動者)について、これまで実務上、日本とベトナムの両方から給与を受け取る運用が一般的でした。日本親会社が本給や賞与を支給しつつ、ベトナムでの生活費や現地手当に相当する部分は現地法人が負担・支給するという形態が、多くの企業で長年にわたり定着していました。
しかし、2025年8月に施行された政令219/2025/ND-CP以降、ベトナムの労働当局が「社内異動者への現地法人による給与支払いは認められない」という厳格な解釈を示したことにより、この従来の実務慣行に対して見直しが求められる状況となっています。本記事では、この問題の背景と最新の制度動向、想定されるリスク、そして特に新設企業が設立時から検討すべきポイントについて、分かりやすく解説します。
1. 社内異動(Internal Transfer)とは
・社内異動の定義
ベトナムにおける「社内異動」とは、ベトナムに子会社や駐在員事務所などの現地拠点を有する外国企業(親会社)が、自社の管理者・専門家・技術労働者などを当該現地拠点に異動させる就労形態を指します。社内異動に該当するためには、主に以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 親会社と異動先のベトナム現地拠点との間に直接的な資本関係があること
- 異動前に親会社で12カ月以上連続して勤務していること
この「社内異動」形態は、日系企業の駐在員派遣において最も一般的に利用されてきました。その理由として、親会社の経営方針や企業文化を理解した社員を派遣することで現地経営がスムーズに行えること、そして社会保険の加入が免除されるというコスト面のメリットがあります。
・社内異動者の給与に関する原則
社内異動形態の場合、駐在員は日本の親会社との雇用契約を維持したままベトナムで勤務します。そのため、法的には給与の支払い元はベトナム現地法人ではなく、派遣元である日本の親会社であり、ベトナム現地法人との間では労働契約を締結しないというのが本来の法的な性質です。しかし実務上は、駐在員の給与のうちベトナムでの勤務に対応する部分(生活費や現地手当相当分など)については、ベトナム現地法人が負担・支給するケースが大半を占めてきました。この運用は長年にわたり多くの日系企業で定着しており、当局からも特段の指摘を受けることなく行われてきたのが実態です。今回の政令219号に基づく当局の見解により、こうした従来の実務慣行が法令上認められなくなる可能性が高まっている点が、本記事の最も重要なポイントです。
2. 政令219号の施行と給与負担問題の表面化
・政令219/2025/ND-CPの概要
2025年8月7日に施行された政令219/2025/ND-CPは、旧政令(政令152/2020/ND-CP)に代わる外国人労働者の管理に関する最新の政令です。本政令では、ベトナムで就労する外国人の就労形態がこれまでよりも明確かつ詳細に規定されました。また、手続きの一部簡素化も行われています。
・当局による厳格な解釈
政令219号自体には「社内異動者への現地給与支払い禁止」という明文規定はありません。しかし、同政令の運用説明会や各社との個別相談の場において、ハノイ市・ホーチミン市の労働当局担当者から以下のような解釈が示されています。
- 社内異動者はベトナム国内で労働契約を結んでいないため、ベトナム現地法人は給与を支給してはならない(全額、日本の本社が負担すべき)
- 現地法人が給与の一部でも負担する場合、「社内異動」ではなく、現地で労働契約を締結する形態への切替えが必要
つまり、「社内異動」形態でワークパーミット(WP)を取得しているにもかかわらず、現地法人から給与を支給している場合、政令219号の趣旨に照らすと法令上不適合とみなされる可能性があるということです。
・実務との乖離
前述の通り、多くの日系企業ではこれまで、駐在員の給与を日本とベトナムの両方から支給する運用を行ってきました。日本の親会社が本給や賞与を支払い、ベトナム現地法人が生活費相当分や現地手当を負担・支給するという形です。その主な理由として、個人所得税の関係上、ベトナムでの労働から生じる所得を明確にする必要があること、また駐在員がベトナムでの日常生活資金を現地通貨で確保する必要があることなどが挙げられます。このように、法律上の「社内異動者への給与支払い元は親会社」という原則と、実務上の「現地法人もベトナム分の給与を負担する」という慣行との間には、長年にわたりズレが存在していました。今回の当局の厳格な解釈により、各社は対応の検討を迫られています。
3. 給与負担問題が引き起こすリスク
社内異動者に対して現地法人が給与を支払っている場合、以下のようなリスクが想定されます。
・社会保険の二重負担リスク
社内異動形態の大きなメリットの一つは、ベトナムでの社会保険加入が免除される点です。しかし、現地で給与を負担していることを理由に「労働契約の履行」形態への変更を求められた場合、ベトナムでの社会保険加入が必要になります。
日本とベトナムの間には社会保障協定が締結されていないため、日本側の社会保険料も引き続き支払う必要があり、「二重払い」が発生してしまいます。
・法人税上の損金不算入リスク
社内異動の形態では、現地法人と駐在員の間に労働契約が存在しないため、現地法人が支払った給与費用は法人税上の損金として認められないリスクがあります。これは、税務上のコストに直結する重要な問題です。
4. 法令改正の展望
・法人税法施行細則の政令案の動き
前述の通り、現時点では当局からは厳格な解釈が発表されています。
一方で、財務省が公開した法人税法施行細則の最新政令案では、親会社が発行する正式な任命状を有する外国人が社内異動としてベトナムに赴任する場合、ベトナム法人と労働契約を締結していなくても、同法人が負担する給与や賞与を損金として計上できる可能性が示されています。
この政令案が正式に公布されれば、法人税の観点では「社内異動」形態のままでも給与費用が損金算入できる可能性が高まります。ただし 2026年5月現在、正式公布には至っていないため、今後の動向を注視する必要があります。
5. 新設企業が特に注意すべきポイント
ベトナムに新たに現地法人を設立する企業にとって、社内異動者の給与負担の問題は設立時から検討すべき重要事項です。以下の点を押さえておくことを推奨します。
・WPの勤務形態を慎重に選択する
新設企業の場合、最初に派遣される駐在員のWP申請時に、「社内異動者」と「現地雇用」のどちらの形態で申請するかを、給与負担のスキームと合わせて検討する必要があります。
現地法人から給与の一部でも支払う予定がある場合は、「現地雇用」形態でのWP取得を検討することも一つの選択肢です。ただし、その場合は社会保険加入義務が発生するため、コスト面での試算が不可欠です。
・社会保険のコストインパクトを試算する
「社内異動」形態と「現地雇用」形態では、社会保険・健康保険の負担が大きく異なります。社内異動の場合はベトナムでの社会保険が免除される一方、現地雇用の履行形態では社会保険料が発生します。
新設企業の初期予算策定において、このコスト差は無視できない規模です。特に、日本側の社会保険との二重負担が発生する可能性も踏まえ、事前に試算を行った上で判断することが重要です。
6. まとめ
ベトナムにおける社内異動者の給与負担問題は、政令219号の施行以降、労働当局の解釈厳格化により、これまで多くの日系企業で定着していた「日本とベトナムの両方から給与を支給し、ベトナム分は現地法人が負担する」という実務慣行が否定されるリスクが顕在化しています。社会保険の二重負担、損金不算入など、影響は多岐にわたります。
一方で、法人税法施行細則の政令案において、任命状があれば社内異動のままでも損金算入が可能になる見込みも示されており、今後の法令公布の行方によって状況が変わる可能性もあります。
特に新設企業は、設立時から給与負担のスキームとWPの勤務形態を整合させた設計を行うことが、将来的なリスクを最小化するために不可欠です。最新の運用状況を踏まえながら、専門家と連携して対応を進めることを推奨します。
社内異動者の給与負担、WPの勤務形態の選択に関してご不明点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。最新の実務運用を踏まえながら、状況に応じたサポートをさせていただきます。
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