【トルコの繊維産業】

こんにちは。東京コンサルティンググループトルコ支社の吉田瞬です。

先週は、日本・トルコ間の具体的な貿易内容に関して、お話をさせていただきました。
今回は大きくテーマを変えて、トルコの繊維産業について情報を発信させていただきます。

繊維産業は、トルコ経済を支える伝統産業の一つであり、日本にも多くの繊維製品が輸出されています。繊維・ファッション・アパレル等の分野でトルコへの進出を検討されている企業様もいらっしゃるのではないでしょうか。
トルコの繊維産業の強みとしては、地理的に欧州市場に近いという点から、競合国である中国と比較して納期を短く設定できるという利点があります。加えて、1996年にEUとの間で締結した関税同盟によって関税が撤廃されているため、価格を抑えて欧州に輸出することが可能です。
今年の3月末には、アメリカのスポーツ用品大手であるナイキが東部のアール県に新工場を建設する計画を発表しました。約5,000人の雇用が見込まれており、中東・欧州の生産拠点が今回建設される新工場に移転されると思われます。

一方で、トルコの繊維産業が抱える課題も少なくありません。
1つは、主に欧州市場において競合となっている中国製品との価格競争です。2005年にWTO（世界貿易機関）によって繊維製品の輸入割当制度が撤廃されて以降、トルコは世界最大の繊維製品輸出国である中国との競争で大きく遅れをとりました。今後、トルコの繊維産業が世界市場で生き残っていく為には、価格面ではなく、製品に対する高付加価値化やブランド化といった新たな戦略展開を行っていくことが求められています。
反対に、インドやパキスタン、ウズベキスタンといった近隣諸国から輸入される安価な繊維関連品は、トルコの国内繊維産業に与える影響力を増しつつあります。今年の1月には、繊維セクター保護を目的として、外国製の繊維関連品の輸入に対して新たに5%から8%の追加関税をかけることがトルコ政府によって発表され、即日実施されました。

今週は以上となります。

弊社ではトルコ進出に関わるセミナー等も開催しておりますので、是非一度足を運んでいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

東京コンサルティングファーム・トルコ拠点
吉田瞬

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