
皆様、こんにちは。
前回に引き続き、今回のブログでも、よくある労務Q&Aを載せていきたいと思います。
<質問>
駐在事務所として設立し現在3年が過ぎましたが、駐在員事務所を閉鎖し、現地法人の設立を行う予定です。
現在駐在員事務所として雇用している従業員には、各種書類等の手続きのためにサポートしてもらいたいと考えており、従業員もサポートについては同意してくれています。
この場合、給与の支払いや、社会保険等はどのようにすればよいのでしょうか?
<回答>
通常、閉鎖登記日以降の雇用は認められないため、閉鎖登記日より前に、従業員を解雇する必要があります。
閉鎖登記日以降に、社会保険の取消手続等も行います。そのため、閉鎖手続きのサポートを行うことをタイ人従業員が同意した場合でも、閉鎖登記日前に、当該従業員の解雇を行う必要があります。
その後、当該従業員との同意の証明としてフリーランス契約(またはサービス契約)を結ぶのが望ましいです。
給与またはサービス料の支払支払については、閉鎖登記前はタイ駐在員事務所、日本の親会社のどちらでも問題ありません。
閉鎖登記後については、財務諸表の提出等もあることから、閉鎖手続きに関するサービス料の支払については、日本親会社からの支払となるかと思います。
また、PND1(個人給与所得の源泉税)の申告・納付については、閉鎖登記日以降は行えません。
日本から給与をもらっていても、タイ駐在員事務所の雇用下ではないためPND1の毎月納付は行えないのが理由となります。
そのため、当該従業員が、PND90(個人確定申告、年に1度)で申告する必要があります。
社会保険についても、閉鎖登記後に社会保険登録の取消手続きを行います。
そのため、サービス契約を結ぶ際には、現行の社会保険に代わるものとして、
- 従業員様個人で社会保険に登録する
- 日本の企業側が社会保険に代わる保険を提供する(または、保険料(10,000THB等)を現金で提供する)
のどちらを選択するのか、従業員と話し合い決定するのが望ましいかと存じます。
なお、個人で社会保険に登録するには、社会保険局の条件(退職後6ヵ月以内に社会保険局へ登録を行うこと、12ヵ月分の社会保険料を納付していること)を満たしている必要があり、個人で登録される場合は、従業員自身で、登録・支払を行う必要があります。
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東京コンサルティングファーム タイ拠点
植村 寛子
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