
みなさん、こんにちは。東京コンサルティングファーム、タイオフィスの長澤です。
今回は、タイ企業での利益の積立義務についての質問をみてみましょう。
Q.タイの民商法典1202条には、配当時の利益積立の規定が書かれており、利益の20分の1(5%)の積立とありますが、配当時には必ず利益の20分の1(5%)を積み立てなければならないのでしょうか。
A.
民商法典1202条の法文上は利益の5%(20分の1)という文言となっています。
「配当を行う際には、利益の20分の1以上を、資本金の10分の1もしくは定款に定める金額のいずれか大きい金額に達するまで、法定準備金として積み立てる必要がある(第1202条)」
ただし、実務上の取扱、見解としては以下の2通りがあります。
- 法文上通り利益額の5%とするケース
- 利益額から配当される金額の5%とするケース
法文上は1.となるが、1.を選択すると多額の準備金が必要となり、利益ではなく利益額のうち配当に割り当てられる金額を算出基準とするのが実務上妥当だとする見解もみられます。
実務上2.で行っているケースも見受けらます。
一方で、会計監査人は法文上通り1.で指摘、要求するケースが多いですので、実務上は会計監査人に意見を確認して対応するのが望ましいといえます。
法文も解釈が分かれますので、弁護士や会計士の見解と商慣習、リスクなどをそれぞれ考慮の上対応する必要があります。
以上
東京コンサルティングファーム
長澤 直毅