【タイ法務】インサイダー取引規制とは?日本と の違いとM&A実務で注意したいポイント

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ名古屋拠点の片山眞沙です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「【タイ法務】インサイダー取引規制とは?日本と
の違いとM&A実務で注意したいポイント」についてお話していこうと思います。

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目次

【【タイ法務】インサイダー取引規制とは?日本と
の違いとM&A実務で注意したいポイント】

はじめに
皆さん、こんにちは。
東京コンサルティングファーム タイ拠点の片山です!
2026年6月よりタイへ赴任し、現地での業務を開始しました。
タイで業務を行う中で、会計や税務だけではなく、法務やコンプライアンスに関する制度
についても、日本との違いを学ぶ機会が増えています。
その中で今回気になったのが、「インサイダー取引規制」です。
日本ではニュースなどで耳にすることがありますが、タイにも同様の規制が存在していま
す。
特に、クロスボーダーM&Aや上場企業への投資に関わる場合には、未公表の重要情報を取
り扱う場面もあるため、制度の概要を理解しておくことが重要だと感じました。
私自身、現在はタイ拠点業務に加えてM&A事業部も兼任しているため、今回はタイのイン
サイダー取引規制について、日本との違いも交えながら整理していきたいと思います。
【本記事の結論:タイ・インサイダー取引規制のポイント】
対象者の広さ:役職員だけでなく、FAや弁護士・会計士などM&Aに関与する外部専門家も
対象。
日本との違い:タイSECが監督。2016年より「民事制裁(Civil Sanctions)」が導入され
ており、迅速かつ高額な制裁金が課されるリスクがある。
実務上の対策:M&AやPMIの過程で、厳密なNDA締結、アクセス権限管理、関係者の株式
売買ルールの徹底が不可欠。
インサイダー取引とは?
インサイダー取引とは、会社の内部情報を知る立場にある人が、その情報が公表される前
に株式売買を行うことを指します。
例えば、
・M&Aの実施
・大型受注の獲得
・業績の大幅な変動
・増資や資本提携
などの重要情報を利用して売買を行うことが代表例です。
一般投資家より先に重要情報を知っている人が利益を得ることを防ぐため、多くの国で規
制されています。
タイのインサイダー取引規制とは?
タイでは、証券取引法(Securities and Exchange Act)に基づいてインサイダー取引が規
制されています。
監督機関はタイ証券取引委員会(SEC Thailand)です。
規制対象となるのは上場会社の役員や従業員だけではありません。
例えば、
・監査人
・弁護士
・会計士
・FA(ファイナンシャルアドバイザー)
・その他外部専門家
なども対象となる可能性があります。
そのため、M&A案件に関与する専門家にとっても非常に重要な制度となっています。
日本との違い
日本とタイは基本的な考え方に大きな違いはありません。
どちらも、「未公表の重要事実を利用した株式売買」を禁止しています。
一方で、監督機関や制度運用には違いがあります。
日本では金融庁や証券取引等監視委員会が中心となって監督を行いますが、タイではSEC
Thailandが監督機関となります。
さらに、タイでは2016年の証券取引法改正により、「民事制裁(Civil Sanctions)」が導入
されています。
これにより、刑事罰だけではなく、
・利益相当額に応じた高額な民事制裁金
・上場会社や証券会社の役員就任禁止
・一定期間の証券市場への参加制限
などが課される可能性があります。
そのため、タイ上場企業へ投資する場合には、日本の感覚だけで判断するのではなく、タ
イ独自の制裁制度まで理解しておくことが重要です。
なぜM&Aで重要なのか?
インサイダー取引規制は、上場企業の役員だけが気にする制度ではありません。
クロスボーダーM&Aでは、
・買収交渉
・デューデリジェンス(DD)
・企業価値評価
・契約交渉
などを通じて、未公表の重要情報へアクセスする機会があります。
例えば、上場企業の買収計画は株価へ大きな影響を与える情報となります。
そのため、案件関係者が対象会社や関連会社の株式を売買する際には十分な注意が必要で
す。
日系企業で実務上論点になりやすいポイント
クロスボーダーM&Aでは、未公表情報へアクセスする関係者が多くなるため、情報管理体
制の構築が非常に重要になります。
NDA(秘密保持契約)の締結
対象会社だけでなく、FA、弁護士、会計士、通訳など、案件へ関与する関係者との締結漏
れがないか確認する必要があります。
アクセス権限管理
DD資料を格納するデータルームについて、「誰が」「いつ」「どの資料へ」アクセスした
のかを管理することが重要になります。
情報共有範囲の制限
M&A案件では、「知る必要がある人だけが情報を知る(Need to Know Basis)」という考
え方が重要です。
株式売買ルールの整備
案件関係者が対象会社や関連会社の株式を売買しないよう、社内ルールや事前申請制度を
整備する企業もあります。
私自身、タイ赴任後に制度を調べる中で、M&A案件では法務・税務DDだけではなく、
誰が情報へアクセスしているか」というコンプライアンス管理も非常に重要になると感じ
ました。
近年の動向
タイSECは近年、市場監視体制を強化しています。
また、デジタル取引の普及や海外投資家の増加に伴い、監督体制も高度化しています。
さらに、インサイダー取引については、刑事罰だけではなく民事制裁制度を活用した迅速
な執行事例も増えており、企業としてもコンプライアンス対応の重要性が高まっています
クロスボーダー案件が増加している中で、インサイダー取引規制への対応は今後さらに重
要になると考えられます。
PMIにも関係する?
インサイダー取引規制は買収成立前だけの話ではありません。
PMI(買収後統合)においても、
・業績予想
・組織再編
・追加投資
・資本政策
など、株価へ影響する情報が発生する可能性があります。
そのため、M&A成立後も情報管理体制を継続的に整備することが重要です。
【FAQ】インサイダー取引規制でよくある質問
Q. タイ法人の従業員も対象になりますか?
はい。未公表の重要情報へアクセスできる立場であれば対象となる可能性があります。
Q. M&A案件に関与する外部専門家も対象になりますか?
はい。弁護士、会計士、FAなども対象となる場合があります。
Q. 非上場会社のM&Aでも関係ありますか?
対象会社が上場会社でない場合は直接的な規制対象にならないこともあります。ただし、
関連会社や親会社が上場会社である場合には注意が必要です。
Q. タイでインサイダー取引を行った場合、どのようなペナルティがありますか?
タイでは証券取引法に基づき、刑事罰の対象となる場合があります。
また、2016年に導入された民事制裁制度(Civil Sanctions)により、
・利益相当額に応じた民事制裁金
・上場会社役員への就任禁止
・一定期間の証券取引禁止
などの措置が課される可能性があります。
そのため、「知らなかった」「意図的ではなかった」という場合であっても、十分な情報
管理体制を整備することが重要です。
タイ・インサイダー取引クイズ
最後に、今回の内容に関連したミニクイズです!
【第1問】
上場会社のM&A案件において、FAがDDを通じて未公表の買収情報を知りました。
最も適切な行動はどれでしょう?
① 対象会社の株式を少額だけ購入する
② 情報が公表されるまで株式売買を控える
③ 家族名義で株式を購入する
④ SNSで匂わせ投稿を行う
【第2問】
次のうち、タイで民事制裁(Civil Sanctions)の対象となる可能性が最も高いものはどれで
しょう?
① 未公表情報を利用した株式売買による利益獲得
② 社内規程の誤字脱字
③ NDAへの押印漏れ
④ DD資料のファイル名変更
【第3問】
PMI期間中、未公表の大型投資計画を知った役員が最初に行うべきこととして最も適切な
ものはどれでしょう?
① 関係会社の株式を購入する
② 知人へ情報共有する
③ 株式売買を控え、社内ルールへ従う
④ SNSで将来性を発信する
解答・解説
【第1問】の答え:②
【解説】
未公表の重要情報を知った時点で、案件関係者は株式売買を控えることが基本です。
【第2問】の答え:①
【解説】
タイでは2016年以降、民事制裁制度が導入されており、利益相当額に応じた制裁金などが
課される可能性があります。
【第3問】の答え:③
【解説】
PMI期間中も株価へ影響する情報は発生します。M&A成立後も継続的なコンプライアンス
対応が重要になります。
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タイ進出や現地法人運営、クロスボーダーM&Aにおける法務デューデリジェンス(DD)
やコンプライアンス体制の構築についてご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせ
ください。
まとめ
タイのインサイダー取引規制は、日本と同様に市場の公平性を維持するための重要な制度
です。
特にクロスボーダーM&Aでは、買収交渉やデューデリジェンスを通じて未公表情報へアク
セスする機会があるため、十分な情報管理が求められます。
また、タイでは2016年から民事制裁(Civil Sanctions)が導入されており、刑事罰だけで
はなく、高額な民事制裁金や役員就任禁止措置などが課される可能性があります。
私自身、タイ拠点業務に加えてM&A事業部も兼任しているため、今後もタイを中心とした
クロスボーダーM&Aや海外進出実務について発信していければと思っております。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言を構成するものではありま
せん。具体的な案件については専門家へご相談ください。

 

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株式会社東京コンサルティングファーム 名古屋拠点
片山眞沙


※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。
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2019-10-23

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