シンガポールの労務コラム!~従業員が死亡した場合~

労務

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ シンガポール拠点の田中 勇です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「シンガポールの労務コラム!~従業員が死亡した場合~」についてお話していこうと思います。

 

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【シンガポールの労務コラム!~従業員が死亡した場合~】

 

いつもWIKI-INVESTMENTの記事をお読みいただきありがとうございます。

今回は【シンガポールの労務コラム!~従業員が死亡した場合~】というテーマで、お話しいたします。

 

 

職場で死亡事故が起きた場合

 

従業員が会社の職場で死亡した場合、職場の責任者は雇用者の立場で、対応をしなければなりません。

 

最初にすべきことは、当然警察に連絡をすることです。

シンガポール警察は999をダイヤルすれば24時間通じます。

 

次に、できるだけ早くMOMに通知を行うことです。

通知すべき部署は職場の安全および厚生委員会(Commissioner for Workplace Safety and Health)で、その電話番号は:6317-1111です。

内容としては、以下の事項を連絡します:

・従業員の氏名およびID番号

・死亡時刻

・死亡場所

・死亡場所の管理者(工場の場合は工場登録証の所持者)

・事故の概要

・連絡方法

 

次に、従業員の死亡から10日以内に、事故の報告書を作成し、MOMに提出します。

報告書の作成には以下リンク先のMOMのWSH事故報告用電子サービス(Incident Reporting eService)を利用します:https://www.mom.gov.sg/eservices/services/wsh-incident-reporting

 

内容としては、以下の事項を報告します:

・企業責任者の個人情報

・企業情報

・事故の詳細

・死亡した従業員の個人情報

・雇用条件

・加入保険の内容

 

この報告書は提出の後、プリントアウトして事務所で3年間保管することが義務付けられます。

また、内容の確認のため、MOMの査察を受けることがあります。

 

最後に、保険会社に払い戻しを求めるため、できるだけ早く連絡します。

 

職場の外で従業員が死亡した場合

 

職場の外で死亡事故が起きた場合は、それが職務上の外出中であったか、私的な外出中であったのかによって対応が異なり、

前者の場合は上記の職場で従業員が死亡した場合に準じて報告を行うことが義務付けられます。

職務上の外出では、交通機関の別によらず、全ての交通事故死が関係するため注意が必要です。

一方、私的な外出中であった場合は報告書提出の義務はなく、以下の必要な処理を行うことになります。

 

企業として対応が必要なこと

 

企業としては、死亡した従業員に対して、法的に支払いが必要な金額を把握する必要があります。

最初に考えるべきは、従業員が働いていた期間に対応する給与です。

従業員が受け取る権利として発生する給与総額(Gross Salary)としては、以下の項目があります:

・最終出勤日までの給与(役職手当等を含む、通常日割りで計算)

・年次休暇、代休の未取得分

・残業代

・従業員立替払い費用清算

なお、シンガポールでは、個人の銀行口座は、当人の死亡が通知されると凍結され、入出金ができなくなる制度となっています。

このため、上記計算を行い、振込を実行しようとする際に、銀行側が死亡を確認していると、送金ができなくなることがあります。

その場合は、上記計算結果の金額の受取人として、指名されているまたは法的に代表者として指名されるべき人物を特定し、受取人となってもらうことになります。

また、女性の場合、出産休暇中に死亡することがあります。

この場合の計算は、出産手当(Maternity Benefit)として、最終出勤日以降、死亡するまでの日数から金額を算出し、

法的に代表者として指名されるべき人物にこれを支給することになります。

また、従業員が職場に遺した個人の物品がある場合、これを遺族に返却することも企業の義務となります。

もしもの場合ではありますが、緊急連絡先として、情報は確保しておくことが望ましいでしょう。

 

労災の補償

 

シンガポールの労災は、Work Injury Compensationと呼ばれ、同じ名前の法律WICA(Work Injury Compensation Act)によって補償されるべき従業員などが定められています。

死亡に関しては、直接的に職務で必要な行為によって生じた事故や病気により従業員が死亡した場合にのみ関係する労災ですが、実際には企業側に非がないと思われるケースでも、遺族により労災の請求がなされ、これが認可されてしまうと、企業側は必ずこれを支払う必要があります。

労災の補償金の計算方法は複雑ですが、金額の上限と下限は以下のように定められており、多くの場合上限の金額を支払うことになります:

最低金額:SGD76,000

最高金額:SGD225,000

なお、オンラインで計算機が利用できます:

https://www.mom.gov.sg/workplace-safety-and-health/work-injury-compensation/resources-and-tools/wic-calculators/compensation-for-death

 

死亡したのが外国人労働者であった場合

 

シンガポールで就労許可を持って、外国人労働者として働く従業員が死亡した場合、企業側にはいくつもの責任が発生します。

まず、当然ながら、警察と家族に連絡をします。

家族には、上述の通り、権利の発生している金額を支給し、遺留品の受け渡しも手配します。

ここで、従業員の遺体をど

うするか、概ね以下の選択肢から遺族の決定を待ち、その費用を負担します:

・シンガポールで埋葬する

・シンガポールで火葬を行い、遺灰を母国へ送る

・遺体を母国へ送る

次に、死亡発生の認知から12時間以内に、以下のリンク先から、MOMに通知を行います:

https://service2.mom.gov.sg/efeedback/Forms/eFeedbackWithReferrer.aspx?option=11

通知すべき内容は、企業側責任者としての自らの氏名と連絡先、また死亡した従業員の就労許可IDです。

次に、外国人労働者の死亡から1週間以内に、就労許可の取消を行います。

※たまたまその期間内に就労許可の有効期限に達した場合は、その翌日に取消が必要です。

就労許可の取消を行った時点で、帯同家族にはシンガポールに滞在する権利がなくなるため、短期滞在許可の発効、およびその帰国の手配も行わなければなりません。

この帰国の手配は、遺族が自費で帰国することを選択するのでない限り、企業側が費用を負担します。

 

 

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