休暇付与の義務は主に雇用法(Employment Act)、児童育成共同救済法(Child Development Co-Savings Act)、養子縁組法(Adoption of Children Act)などで規定されます。
このうち、雇用法第4部(Part IV)により規定される年次有給休暇(Annual Leave)については肉体労働者(Workmen)で月給4,500 SGD以下、それ以外(Non-Workmen)で月給2,500 SGD以下の場合のみ適用、付与の義務が発生するものとなりますが、他の従業員に対しても付与する会社が一般的です。
また、いずれの法律による規定も、試用期間を終了しているか否かを問わず、3か月以上勤務している従業員に適用される点が特徴的です。
少子高齢化の進むシンガポールには、当然のように法律で自国民を保護する制度があり、それが休暇制度にも如実に表れています。
以下、最低付与日数を確認しつつ、有給休暇と無給休暇のそれぞれを見ていきましょう。
有給休暇
1.年次有給休暇(Annual Leave):7日~
最初の一年目が7日間、その後毎年1日ずつ、7年目の14日まで日数が増加
2.病気休暇(Sick Leave):~14日/60日
認定医師が必要と認める日数、
給与の支払い義務は入院が必要な場合年間60日、通院のみの場合は年間14日
ただし勤続日数が3か月以上6か月未満の場合はそれぞれ日数が減少
3.出産休暇(Maternity Leave):16週/12週
シンガポール国籍の子供の母親に16週、外国国籍の子供の母親に12週
※16週のうち8週間は政府からの補助金が得られる(3人目からは16週間分)
外国国籍の子供の場合の12週間のうち4週間は無給休暇(3人目からは12週すべて無給)
※外国国籍の子供の場合、政府からの補助金はない
4.父親出産休暇(Paternity Leave):2週
シンガポール国籍の子供の父親のみ
出産から16週以内に2週間取得可能
※2週間分の給与に対し、政府からの補助金が得られる
5.シェア出産休暇(Shared Parental Leave):~4週間
シンガポール国籍の子供の父親のみ
上記3.出産休暇16週のうち4週間を代わりに取得可能
※4週間分の父親の給与に対し、政府からの補助金が得られる
6.養子縁組休暇(Adoption Leave):12週
シンガポール国籍の子供、又はシンガポール国籍取得予定の子供を引き取る母親のみ
養子縁組の届け出(Formal intent to adopt)から12週取得可能
※12週のうち8週間は政府からの補助金が得られる(3人目からは12週間分)
7.育児休暇(Childcare Leave):~6日/2日
シンガポール国籍の子供の父親及び母親のみ
7歳未満の子供がいる場合6日まで、12歳以下の子供しかいない場合は2日まで取得可能
※6日までの場合の後半の3日、2日の場合の両日は政府からの補助金が得られる
無給休暇
1.ナショナルサービス休暇(National Service Leave):~40日
シンガポール国籍の男性で予備軍隊員(Reservist)である場合、毎年徴兵日数分休暇となる
※従業員が防衛省(Ministry of Defence)に徴兵日数分の給与を請求する
2.無給育児休暇(Unpaid Infant Care Leave):~6日
2歳未満のシンガポール国籍の子供の父親及び母親のみ
子供の数によらず6日までだが、有給休暇の育児休暇とは別に取得可能
以上の休暇については、あくまで最低条件として法律で定められているものであり、日付を増やしたり、別に慶弔休暇や試験休暇、会社創立記念日などを設けるところも多くあります。
どのように運営していくか考えていくうえでも、就業規則(Employment Handbook)などに盛り込んでおくことが強く推奨されます。
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