
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループの谷之口です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「シンガポールのEP・COMPASS」についてお話していこうと思います。
シンガポールの就労ビザ制度の中核を担うエンプロイメントパス(EP)について、2026年より新たな変更が段階的に実施されています。給与最低基準の引き上げ、COMPASSの審査項目改訂、人材不足職種リスト(SOL)の見直しなど、外国人人材採用に直結するアップデートが相次いでいます。本記事では主要な変更点を整理し、日系企業の採用・更新実務に役立つ情報をお伝えします。
目次
1. 【2026年・2027年版】EP最低給与基準の段階的引き上げ
Ministry of Manpower(MOM)は、EPの最低資格給与を段階的に引き上げています。2026年現在、一般業種の新規申請者に求められる最低月給は SGD 5,600(2025年から据え置き)です。さらに2027年1月からは SGD 6,000 へと引き上げが予定されており、金融サービス業ではより高い水準(2026年:SGD 6,200→2027年:SGD 6,600)が適用されます。また、年齢によってスケール基準が上がる点も重要です。45歳以上の応募者には、2026年現在で一般業種 SGD 10,700、金融業 SGD 11,800 が求められます。さらに2027年1月以降は一般業種 SGD 11,500、金融業 SGD 12,700 へ引き上げられる予定です(参考:1 SGD ≈ 124円)。
2. S Passの最低給与基準も同様に上昇
テクニシャンや一部専門職を対象としたS Passについても、2027年1月から最低月給が一般業種 SGD 3,300→3,600、金融業 SGD 3,800→4,000 へ引き上げられます。製造業・小売・飲食業などにS Pass保有者を採用している日系企業は、更新時の給与水準を事前に確認しておく必要があります。
3. COMPASS審査項目の主な改訂ポイント(2026年以降)
COMPASS(Complementarity Assessment Framework)とは、シンガポールの就労ビザ(EP)の取得要件として導入されたポイント制の評価システムです。
6つの評価軸で合計40点以上を獲得する必要があります。 2026年1月以降の主な変更は以下の通りです。
【C1・給与基準】業種別の給与ベンチマークが更新。65パーセンタイルで10点、90パーセンタイルで20点という配点は維持。
【C2・学歴】認定大学リストが改訂され、Group A・B(各20点)と専門資格(10点)のカテゴリー制に。工学・ホスピタリティ・応用科学分野の資格が新たに追加。
【C5・人材不足リスト(SOL)】医療関連職種が新たにSOLへ追加(ボーナス20点、5年EP有効期間の優遇あり)。一方、Cyber Risk Specialist、Cybersecurity Operations Specialist、Product Manager(Digital)はSOLから削除。
4. SOL改訂が採用戦略に与える影響
SOLは「シンガポールで不足しているスキルを持つ外国人人材」を優遇するリストであり、該当ポジションでの採用はCOMPASS審査で有利に働きます。今回の改訂でITセキュリティ系の職種がSOLから除外されたことは、テック系人材を積極採用してきた企業には注意が必要です。代わりに医療・ヘルスケア系が加わったことで、医療周辺ビジネスや介護関連の進出企業には追い風となります。ポジション名や職務内容がSOLの定義と一致するかを慎重に確認することが重要です。
5. 更新申請への影響:2026年7月から適用
新規申請への新ルール適用は2026年1月からですが、EP更新申請への適用は2026年7月1日からとなっています。つまり、今年7月以降に更新を迎える現EP保有者も、新しい給与基準・COMPASSルールでの審査対象となります。現在の給与が新基準を下回っている場合は、更新前に給与改定を行うか、他のCOMPASSポイントで補完できるか確認することが急務です。
6. 日系企業の実務対応チェックリスト
以下の点を確認しておくことをお勧めします。
・2026年7月以降に更新を迎えるEP保有者の給与が新最低基準(SGD 5,600〜)を満たしているか確認する
・金融業・IT業・医療関連業など業種別の基準に該当するかを確認する
・COMPASS審査でのC2(学歴)・C5(SOL)スコアを事前にシミュレーションする
・採用計画中のポジションのSOL該当有無を確認し、職務定義を整備する
・S Pass採用が多い場合は2027年1月の給与基準引き上げを踏まえた人件費計画を立てる
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年のEP新規申請に必要な最低月給はいくらですか?
A. 一般業種はSGD 5,600、金融サービス業はSGD 6,200です(年齢によりさらに高くなります)。
Q. 新しい給与基準とCOMPASSルールは既存のEP更新にも適用されますか?
A. はい。2026年7月1日以降に更新申請を行う既存のEP保有者に対しても、新基準での審査が適用されます。
おわりに
シンガポール政府の外国人採用規制は、外国人を排除するためではなく「ローカル人材を補完する形での採用を促す」という一貫した哲学のもとで設計されています。給与改定が更新時期に間に合わず対応に苦戦するケースも散見されるため、対象者の給与水準は早めにシミュレーションすることをお勧めいたします。 個別のビザ申請や更新手続きについては、MOM認定のエージェントや社労士(HR専門コンサルタント)にご相談ください。
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