個人所得税(Tax on Income)について③

税務

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

私の趣味は節約も兼ねたフィリピンローカル食堂の食べ歩きです。
フィリピン現地の人と肩を並べ、1日3食たいていローカル食堂で済ませています。
しかし、趣味が食べ歩きとはいえいつも新規開拓というのは難しく、ある程度は決まったところに落ち着いてしまうのが現状です。

最近私が住んでいるコンドミニアムの裏に新しくレストランができました。非常に南国らしく開放感あふれる作りのレストランで、電飾もクリスマスムードのある雰囲気のよいローカルなレストランです。家から近いのもあり、プレオープン当日から通っているのですが、常に美味しい料理と温かい雰囲気でもてなしてくれます。もともと紅茶とコーヒーは置いてなかったのですが、ダメもとでオーナーに頼んでみたところ10月から置いてくれるようになりました。これで少し長く、くつろぎの時間を楽しむことができます。
フィリピンをまた少し好きになった瞬間でした。

さて、今週は先週・先々週に引き続き個人所得税に関して、所得金額の計算・税率・確定申告・源泉徴収についてお話をさせて頂きます。

●所得金額の計算
前回までにお話させて頂いた方法により算出した各種所得の合計額から、以下の所得控除額が控除されます。
フィリピンでも、日本と同様に各種の所得控除が認められていますが、その額は日本の所得税と比べると僅少であるのが現状です。
【所得控除一覧】

控除対象 年間の控除額
(ペソ)
基礎控除 50,000
扶養控除(1人当たり。最高4人まで。)(注1) 25,000
保険料控除(1家族当たり) 2,400

注1:扶養者は21歳未満で未婚かつ無所得である者、及び心身障害者で納税者と生計を共にする者をいいます。

なお、保険料控除については、月200ペソを超えない保険料の場合は以下の条件を満たせば控除が認められます。

・家族の総所得が250,000ペソを超えないこと
・既婚者である場合は、扶養控除を行った配偶者にのみ控除が認められます

●税率
税務上の個人の居住者及びフィリピン国籍の非居住者は、算出された総収入金額から各種控除額を差し引いた課税所得の額に応じて、7段階の累進課税率が適用されます。
【個人所得税率(居住者及びフィリピン国籍の非居住者)】

年間課税所得(ペソ) 税率
0~10000 5%
10001~30000 500+10000を超える部分に対し 10%
30001~70000 2500+30000を超える部分に対し 15%
70001~140000 8500+70000を超える部分に対し 20%
140001~250000 22500+140000を超える部分に対し 25%
250001~500000 50000+250000を超える部分に対し 30%
500001~ 1250000+500000を超える部分に対し 32%

外国籍の非居住者に対しては、一律25%の税率が適用されます。

【個人所得税率(外国籍の非居住者)】

年間課税所得 税率
一律(フラットレート) 25%

一方、多国籍企業の地域統括本部(RHQ:Regional Headquarter)や地域経営統括本部(ROHQ:Regional Operating Headquarters)、オフショア銀行(OBU:Offshore Banking Unit)、石油開発関連企業等の外国人従業員については、以下の優遇税率が課税されます。
なお、この優遇税制は上記組織に勤務し、上記従業員と同等の地位に就くフィリピン国籍の居住者に対しても適用されます。
【個人所得税率(優遇)】

年間課税所得 税率
一律(フラットレート) 15%

●確定申告
所得税額の算定を行った後、個人所得税の申告、納付手続を行います。
個人の課税対象期間は暦年(1月1日から12月31日)とされており、申告・納付期限は、翌年の4月15日までとなります。非上場会社の株式売却益、不動産の売却益による所得がある者は、所定の様式の申告書を別途提出する必要があるため注意が必要です。

納付手続については、申告書提出の際に源泉徴収税額との差額を精算します。源泉徴収税額が確定税額を超える場合は、翌4月15日より2カ月以内に還付されます。
なお、納税額が2,000ペソを超える納税者に対しては、申告時と7月15日以前の2回に均等分割し、納付することも認められています。
【原則的なスケジュール】

【納税額が2,000ペソを超える場合の特例】

また、上位5,000名の個人納税者は電子申告及び電子納税制度(eFPS:Electronic Filing and Payment System)による申告納税を行うことが義務付けられています。
eFSP制度の適用が義務付けられている納税者で納税をしていない場合は、税務署から徴収通知書が発行され、罰則を課されます。徴収通知に記載された期限内に納税をしなければ、略式法的措置又は債権差押えが適用されます。
さらに、継続的に電子申告を行っていないeFPS納税者は、期限後納税に対して50%の超過税率が適用されるため注意が必要です。

●源泉徴収
雇用主は、毎月の給与の支払時に個人所得税額を源泉徴収して、翌月10日までにフォーム1601Cを用いて申告納付を行います。ただし、電子申告を行っている会社はこの期限が5日間延長されます。また、年度末である12月分については、翌月の15日が納付期限となります。
また、雇用主は、課税年度終了後の1月31日までに、源泉徴収票を従業員に対して交付するとともに、源泉徴収の総括表(フォーム1604-C)を税務署に提出をしなければなりません。

今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上

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