IT企業様のフィリピン進出について①

こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。

先日フィリピン現地にて訪問させて頂いた企業様で、興味深いお話をお伺いしました。現在フィリピンではIT企業様の進出ラッシュが起こっており、これは10年に1度くらいある周期らしく、この進出ラッシュは2~3年続くだろうという話です。

フィリピン進出前の市場調査から会社設立サポートサービス、会社設立後の会計・税務サービス及び人事労務サービスを行っている弊社としてはこの進出ラッシュを非常に嬉しく思っております。
また、ご存知のようにフィリピン政府も雇用を創出し、外貨を稼いでくれるIT企業様の進出には非常に前向きで、BOI(投資委員会)やPEZA(フィリピン経済区庁)といった政府機関が優遇措置を設けております。

というわけで、今週から4回にわたり、これから進出をご検討されているIT企業様向けに現地法人設立のお話をさせて頂こうと思います。
第1回の今回は前述のBOIとPEZAの優遇措置についてお話させて頂きます。

●BOI優遇措置について
1987年オムニバス投資法(共和国法第226号)は、アキノ政権下の1987年に制定されました。国内外問わず、投資優先計画(IPP)に記載された投資について、BOIに申請、登録すれば優遇措置の適用を受けることができます。
外国資本100%の現地法人の設立を考えた場合、生産した製品の70%以上が輸出用であればBOIの優遇措置を受けることができます。

【優遇措置】
BOIに投資申請を行い、許可を受けた場合には、以下のような税制面の優遇措置を受けることができます。
・法人税の免除

a. パイオニア企業※:6年
b. 非パイオニア企業:4年
c. 拡張投資:3年(法人税免除は売上高の増加分についてのみに限定)
d. 低開発地域への新規、または拡張投資(パイオニア、非パイオニアに関わらず):6年間
e. 近代化投資をする場合:3年間(法人税免除は売上高の増加分についてのみに限定)

・5年間、資本設備や予備部品に係る関税率の低減

※パイオニア企業とは、以下の要件を満たす企業をいい、それ以外の企業を非パイオニア企業といいます

・フィリピンにおいて商業規模で生産されたことのない財または原材料の生産に従事している企業
・フィリピンにおいて商品生産に実績がなく、試されたことのない新規の設計、製法または工程の利用を行っている企業
・投資優先計画(IPP)で定められた企業。

【その他の優遇措置】
・外国人の雇用(登録日から5年間、登録企業は統括監督者・技術者・顧問職に外国人を登用できる)
・委託機器の輸入

●PEZA優遇措置について
1995年特別経済区法(共和国法第7916号)に基づき、フィリピン経済区庁(PEZA:Philippine Economic Zone Authority)は、都市部以外の特定の地域に外国投資を誘致するために輸出加工区(エコゾーン)を設置しています。輸出型製造業やサービス供給者に対して投資の促進・サポートをすることで事業運営の簡易化を図っています。
PEZA法に基づき、特定の地域に設置された外国企業は、優遇措置を受けることができます。
なお、本法が成立する前から、1987年オムニバス投資法に基づくBOI優遇措置が付与されていますが、本法の成立により、特別経済区で事業を行う企業に対しては、既存の優遇措置に加え、以下の優遇措置が付与されます。

PEZA登録の受けられるIT企業とは、総収益の70%が海外顧客先から得られるIT サービス活動(付加価値のためにIT ソフトウェアあるいはシステムの使用を伴う活動)を行う企業のことです。
また、インセンティブの資格を有するIT サービス活動の中には、次のものがあります。
・ビジネスプロセスアウトソーシング
・コールセンター
・データエンコーディング
・転写及び処理;
・システムソフトウェアとミドルウェアのプログラミング及び適応を含むソフトウェア開発とアプリケーション
・ビジネス、メディア、電子商取引、教育、娯楽など
・マルチメディアあるいはインターネット目的のためのコンテンツ開発など

【優遇措置】
①所得税免除

法人所得税が100%免除
・拡張したプロジェクト:3年間の免除
・非パイオニア企業:4年間の免除
・パイオニア企業:6年間の免除

②特別税の適用

当該企業の所得税免除期間の満了をもって、5%の総所得課税が適応されます。一切の国税、地方税が免除となります(総所得とは登録活動から得られる総売上高又は総収入から販売割引、返品、引当、販売値引き、直接費用を差し引き、課税期間中に発生する管理費・偶発的な損失を控除する前を指します)。

③その他

・輸入された設備と部品に対する関税及び租税の免除
・設備の輸入貨物に対する埠頭税の免除
・BIR(内国歳入庁というフィリピンの国税庁のこと。)とPEZA要件の遵守を条件とした通信費、電力費、水道代及び建物のリース料を含んだ現地調達における物品とサービスにおける付加価値税の免除
・地方政府の賦課金、手数料、免許及び課税の支払免除
・拡大源泉徴収税の免除

次週から3回に分けてIT企業様の現地法人設立についてお話をさせて頂きます。
今週もどうぞ宜しくお願い致します。

以上

関連記事

ページ上部へ戻る