フィリピンにおける3つの繰越税金とは?

経営

 

こんにちは、Tokyo Consulting Firm Philippine Branchの大橋 聖也です。

【1分でわかるフィリピン進出のイロハ】
No.74<フィリピンにおける3つの繰越税金とは?>

 

日系フィリピン子会社の税務コンプライアンスチェックにあたって、繰越税金の可否や還付申請の取扱いが論点になることがあります。

繰越や還付制度は、自社の将来キャッシュフローにも大きな影響を与えるため、事前にタックスプランニングの一貫として検討すべき事項として注意が必要です。

大きく、フィリピン税務における繰越税金を3つご紹介します。
*申請方法や還付手続きは、別途まとめたいと思います。

 

1、Input VAT
フィリピンでは12%のVATが課税されますが、Input VAT(仮払消費税)の額がOutput VAT(仮受消費税)を超過した場合、当該超過分のInput VATは将来のOutput VATとの相殺が無期限で可能となっています。
Input VATの還付については、法制度上は課税対象四半期末から2年以内を申請期限とし、BIRから申請から承認又は否認までの期間を90日以内となっていますが、実務上は税務調査によって数年の期間を要したり、否認理由が不明確などの理由で機能していない状態が続いています。
2018年の税制改革で、還付プロセス迅速化を目指していますが、今だ不透明な点が多い状況です。

 

2、Creditable Withholding Tax
Withholding Tax(源泉税)の対象となるサービス等において、買い手側が売り手側に対して支払う対価から、BIRに納付する源泉税額を予め差し引いて納めた税金は、Creditable Withholding Tax(控除対象源泉税)として、売り手側の法人税額より控除することが可能となります。こちらも、VAT同様に無期限での繰越が可能となります。

 

3、NOLCO
NOLCOとは、繰越欠損金制度のことを指し、Net Operating Loss Carry Overの略称になります。欠損金発生の翌事業年度から3年間の繰越が可能であり、当該繰越期間に生じた課税所得との相殺が認められています。ただし、25%以上の株式譲渡があるなどの株主構成に大きな変動がある場合には、相殺が認められません。また、日本のような繰越還付制度はありません。

 

特にスタートアップ企業においては、追加投資に伴う資金調達や今後の資金繰りに関して、上記の税制度を考慮したキャッシュフローを検討して頂ければと思います。

 

最後に、2017年9月に弊社フィリピン本の第2版が、出版されました。
フィリピンへの進出実務を最新の情報にアップデートすると共に、弊社フィリピン拠点における6年間のコンサルティング実務の経験を盛り込んでまとめ直したものとなります。
中でも本著はフィリピンの基本的な投資環境から、設立法務、会計税務、人事労務、M&Aに至るまでフィリピンでのビジネス展開に必須な情報を網羅的に収録していますので、
是非、本屋又は弊社宛にお問合せ頂き、手に取っていただけますと幸いです。

今週もどうぞよろしくお願い致します。

 

Tokyo Consulting Firm – Philippine Branch
大橋 聖也

2012年、東京コンサルティンググループに入社。中小企業の発展、会計業界の生き残りを掛けて、社外CFOとして社長のビジョン実現をサポートする、ビジョナリーコンサルティングを立上げに奮闘。社長の抱えるお困り事解決すべく経営理念の策定・経営会議のファシリテート・財務分析等の支援を行う。2016年10月より、フィリピン支店の拠点長として世界に活躍のフィールドを拡げ、真の顧客貢献を目指す。

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