増資手続きにおけるLong Form Auditとは?

法務

いつもお世話になっております。東京コンサルティングファーム・マニラ支店の早川でございます。今回は、増資手続きに関してお客様から頂いたご質問を紹介いたします。

 

御質問:

増資手卯月の最中です。決議書等の書類の用意(及びそれらのアポスティーユ認証)、証券取引委員会(SEC)での手続き、その後国内歳入庁(BIR)での手続き、という流れだと理解しています。現在SECでの申請中に、「Long Form Audit」を提出するよう求められました。これは何なのでしょうか?

 

回答:

Long Form Auditとは、増資のために送金した預金の動きについて、会計士によってまとめられた会計書類を指します。一般的な監査報告書(監査済財務諸表)とは異なります。

 

これは、SECの手続きの前に増資のために送金している場合で、さらにその送金からSECでの手続きまでに時間が空いている場合に、SECへ提出するように求められるものです。

 

増資のために送金はしたが法務手続き上増資が完了していない場合、会計上では“Deposit for the future stock subscription(新株発行のための予約金)”や、“前受金”という扱いにされていらっしゃる会社様が多いかと思います。そのような状態が2~3ヶ月続いた後にSEC手続きを行う場合、SECとしては、どの預金が増資のための送金だったのかを明確にする必要があるため、会計士によって報告書を作らせるという手続きがございます。

 

具体的にいつ送金してその後いつまでにSEC申請すればこれを免れられるか、という規定が残念ながら明確ではございません。例えば送金後すぐにSEC申請したにも関わらず、SEC側での書類の確認に時間がかかり、Long Form Auditを要求することになった、という場合もございます。

 

Long Form Auditを作ったからと言って何か税務上のリスクが発生するわけではございませんが、会計士の費用代を抑えたい場合には、可能な限りSECへの申請書類がそろっている段階で、タイミングを見て送金される必要があるでしょう。

 

ご参考になれば幸いです。

 

東京コンサルティングファーム・マニラ拠点
早川 桃代

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