フィリピンにおける現地法人設立について-資本金-

法務

[資本金]

資本金には、「 授権資本金」、「 引受資本金」及び「 払込資本金」の3つの種類があります。 授権資本金とは、取締役会の権限で新株を発行することができる限度額を指しています。 引受資本金は、実際に株式の引受契約が締結された資本の金額です。また、払込資本金は、引受契約のうち実際に払込(現物出資等を含む)が行われた金額をいいます。財務諸表上の資本金の額はこの払込資本の金額でございます。

授権資本金の額までは、取締役会の決議のみで増資が可能となりますので、資本金額の決定に際しては、将来的にどのくらいの増資が必要になるかを考慮する必要があります。

会社法改正前までは授権資本金額の25%以上が引受けられていなければならず、引受資本金額の25%以上を払い込まなければならないという規定がございましたが、当該会社法改正に伴い、2019年2月23日より撤廃されました。

また外資の出資比率を40%超に設定するためには、最低払込資本金が20万USドル必要になります(先端技術を有する、もしくは直接50名以上を雇用する場合は、10万USドルへ軽減)。

将来において物やサービスの輸出もしくは総売上の60%以上を占める海外収益が見込める企業は、 1991年外国投資法に基づき、輸出 企業(Export enterprises)とみなされ、20万USドルの最低払込資本金の要件は適用されません。なお、前述の支店設立の際と同様に払込資本金が少なすぎるという指摘をSECが行うことがあるため、実務上は 10万ペソ以上が現実的な数字になります。

ここでいわれる海外収益がある企業とは、「輸出型企業」として、 売上の70%以上を外国に輸出する製造業者、加工業者、サービス業者(観光業を含む)、または、フィリピン国内で製品を購入し、その70%以上を輸出する会社をいいます。 その他、銀行業や小売業などの特定の業種については、最低資本金 の規制があるため注意が必要です(P.98参照)。

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