フィリピン現地法人における役員要件

法務

皆さんこんにちは。TCFフィリピン駐在員の日比野です。

前回は日比間で取引が発生した場合の税務についてお話させていただきましたが、本日はフィリピン現地法人の立ち上げにおいて必要となる役員の規定についてお話をさせて頂きます。

 

■取締役(最低5名)

フィリピンの会社法で定められている通り、取締役は最低5名必要であり、かつフィリピン居住者が過半数を占めている必要があります。またネガティブリストの規制業種に該当する場合には、外国人の取締役の人数の割合は、ネガティブリストの上限出資比率を超えることができません。例えば外資出資比率の上限が30%の業種において取締役が5名である場合、日本人は2名以下、フィリピン人が3名以上である必要があります。さらに取締役は最低1株以上の株式を保有する必要があります。

 

代表取締役(社長)

取締役の中から選任されます。国籍を問わず、フィリピン居住者である必要もございません。

また「規制業種(例えば日本出資比率30%)の会社において、社長もフィリピン人である必要があるか」という質問を度々頂戴します。

このような規制業種において、明文化された表記はございません。しかし、SEC(証券取引委員会)の見解によると、社長はフィリピン人にしか認められていないとのことです。

 

財務役

会社の会計責任者を指します。フィリピン人である必要はありませんが、フィリピン居住者である必要があります。なお、代表取締役との兼任は認められておりません。

 

秘書役

フィリピン居住者であるフィリピン人を選任しなければなりません。上記と同様に代表取締役との兼任は認められておりません。

 

 

最近では居住者の認定についても担当官により厳格なチェックが行われるケースがあり、上記のように日本と比べて役員基準が厳しいことが現状です。そのため、実務上ではフィリピンにおける人材採用、会計事務所等の名義貸しサービスの利用などが考えられます。また目的によっては支店や駐在員事務所での進出形態も検討すると良いでしょう。

 

以上、フィリピン現地法人における役員要件のご紹介でした。

それでは今週も宜しくお願いいたします。

 

 

株式会社東京コンサルティングファーム

国際事業部 フィリピン支社 日比野和樹

 

 

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