こんにちは、フィリピン駐在員の田辺です。
今週は先週に引き続き付加給付税(Fringe Benefit Tax)についてお話させて頂きます。
会社が、管理的な立場にある従業員(Managerial or Supervisory Position)に対して物品や役務を提供した場合には、個人所得税とは別に付加給付税が課されます。これに該当しない一般の従業員(rank and file employee)は、この付加給付税の対象外とされています。付加給付とは、雇用主から平社員以外の従業員に対して提供される物品やサービスなどをいい、金銭であるかどうかを問わず、経済的利益を供与するものです。
●課税標準
原則として、法定の評価額(先週のブログ『付加給付税(Fringe Benefit Tax)について①』をご参照ください)を68%で除した額を課税標準とします。ただし、非居住者であり、かつフィリピン国内で業務に従事していない者に対する現物給与の場合は評価額を75%で除した額を課税標準とします。また、外国の石油サービス業者や下請会社、オフショア銀行、地域統括会社の従業員に対する現物給与の場合は評価額を85%で除した額を課税標準とします。
●税率
税率は原則32%ですが、経済特区(Special Economic Zones, including Subic Special Economic Zone)内で事業が行われている場合は、15%か25%の軽減税率が適用されます。また、非居住者であり、かつフィリピン国内で業務に従事していない者の場合は25%、外国の石油サービス業者や下請け会社、オフショア銀行、地域統括会社の従業員に対する現物給与の場合は15%が適用されます。
●申告納付
付加給付税は、四半期に一度、会社が源泉徴収して申告納付を行います。原則として、四半期末の翌月10日までに申告納付を行いますが、電子申告(E-filing)を採用している会社は、5日程度期限が延長されます。
対象期間 | 申告期限 | |
第1四半期 | 1~3月 | 4月10日 |
第2四半期 | 4~6月 | 7月10日 |
第3四半期 | 7~9月 | 10月10日 |
第4四半期 | 10~12月 | 翌1月10日 |
【付加給付税の計算事例】
管理者である従業員Aに対して、メイド代として4,000ペソを支給した。この場合の付加給付税はいくらになるか?
この場合、メイド代は、本来は従業員Aが個人的に負担すべきものであると考えられ、付加給付税の対象となります。
課税標準の計算元となる評価額は、個人経費の立替であるから4,000ペソ全額が対象となります。課税標準額は、この評価額を68%で割り戻した額となりますので、以下のように計算されます。
課税標準額 = 4,000ペソ ÷ 68% = 5,882.35ペソ
この課税標準額に対して、税率32%を乗じた金額が、付加給付税の額となります。
付加給付税 = 5,882.35ペソ × 32% = 1,882.35ペソ
会社は、当該金額を源泉徴収したうえで、四半期ごとに申告納付を行います。
以上