TCFフィリピン駐在員の榊原です。
今回のブログでは「ベネフィットの廃止」についてのご質問にお答えします。
Q. 入社時の契約では付与することにしていた手当がありますが、当該従業員の業績が悪いため廃止にしたいのですが可能でしょうか。
A. いいえ、一度従業員に与えたベネフィットを会社側が取り除くことは労働法100条で禁止されているため、一度与えたベネフィットに対して取り除くということはできないことになります。
Art. 100. Prohibition against elimination or diminution of benefits. 利益の除去や減少に対する禁止
Nothing in this Book shall be construed to eliminate or in any way diminish supplements, or other employee benefits being enjoyed at the time of promulgation of this Code.
→この法律の施行の時点において享受されていた利益について、いかなる方法でも利益の減少や除去されるような解釈をしてはならない。
上記100条が影響し、一度与えた手当だけでなく、役職や地位も対象になるため、降格や降給が違法になることになります。実際に判例もありますが、日本人の感覚では中々理解し辛い点でもあるので要注意です。
そのため、通常法定の最低基準以上のインセンティブを与えることは全く問題がなく、従業員にとっても良いものになりますが、降格や降給が違法であることを考えると、会社側として雇用時に与えるもの、その後その社員の成長とともに与えるものをしっかりと企画してから付与していく必要があります。
それでは今週もよろしくお願いいたします。
株式会社東京コンサルティングファーム
フィリピン支社 榊原 綾