今、ミャンマーの知的財産権が変わる!~意匠法編~

法務

 

ミンガラーバー、
東京コンサルティンググループ
ミャンマー支社の西野由花(にしの ゆか)です。

 

2019年1月から5月にかけて、日本の特許庁とJICAの支援を受けて知的財産に関する法律(商標法・意匠法・特許法・著作権法) が成立しました。
前回の記事で商標法の概要を説明させていただきましたので、
今回は意匠法についての概要をご紹介させていただきたいと思います。

 

【意匠法の概要】
意匠法は商標法と同様に先願主義を採用しています。
出願はミャンマー語又は英語で行うことができますが、求められた場合は他方の言語への翻訳を提出する必要があります。
パリ条約の優先権(※)も商標法と同様に存在しています。
また、ロカルノ協定で定められている工業意匠の国際分類で同一分類の場合は複数の工業意匠について単一の申請書を提出することが可能です。
他にも、出願から18月を上限とする公開延期制度(秘密意匠制度・※)があるなどの特長があります。

 

※バリ条約の優先権:自国で出願した特許と同様のものを他国で特許出願する際、自国に特許出願した日と同様の扱いを受けることができます。この権利は自国に特許出願した日から一年以内に主張することができます。
※秘密意匠制度:秘密意匠制度とは、出願人が請求した場合、意匠登録の日から法津で制定された期間の間は登録意匠の内容を広にすることなく、秘密にしておくことのできる制度です。

 

【意匠の定義・登録要件】
意匠(デザイン)の定義は、製品の一部もしくは全部の線や輪郭、色彩、外形、装飾等の特徴からなる工業製品又は手工業製品の全部もしくは部分の外観のことであると定義されています。
意匠登録のための要件は、新規でかつ独創的な意匠である(新規性)とされ、その基準はミャンマー国内だけでなく諸外国における事実も含めて判断される世界公知が採用されています。その新規性の判断基準日は出願日又は優先日となっています。

 

出願された意匠は審査が終わると公開され、公開から60日以内に異議申し立てを行うことができます。
異議申し立ては、出願意匠が定義規定に含まれない、新規性がないといったことの他、保護されない意匠の条件に合致するといったことを理由に行うことができます。
異議申し立てがない場合は意匠が登録されます。

 

【権利の存続期間】
権利期間は出願の日から5年となっています。
その後5年間の延長が2回可能となっていますので、最大で15年権利を存続することができます。
登録期間を更新する際には、登録期間満了日の6ヶ月以内に費用を払い更新を行う必要があります。
権利の更新を行わなかった場合、登録期間満了日から6ヶ月以内に登録費用と遅延料金を支払えば更新の申請を行うことができます。
登録期間満了日から6ヶ月経過しても更新がされなかった場合、登録工業意匠の登録は取り消されます。

 

【登録の拒絶理由】
公知の意匠の特徴の一つを組合せた意匠や公知の意匠と
明らかに目立つ違いのない意匠は新規性かつ独自性があるとはみなされないため、保護はされません。
また、技術的・機能的創作といった特徴のみの意匠、公序良俗、倫理、宗教・文化的なものに反する意匠は保護されません。

 

これまで二回にわたりミャンマーの知的財産権関連法について触れてきました。
まだ施行される日は決定していません。
いままで知的財産権に関する法がほとんどなかったミャンマーなので、今後混乱が起こることもあるかもしれません。
もし知的財産権など法務に関わるご相談などありましたら
お気軽に弊社にお問い合わせください。

 

弊社では法務の他、
進出前のFS調査から会社設立、会計・事務、労務など進出に係るサポートを一貫してご提供しております。
また、ミャンマーでは大きな課題となっているマネジメント層を育成し、
自立型人材へ成長させ企業の業績そのものをあげるための人事評価制度も展開しております。
設立、設立後についてご質問やご不安などございましたら、お気軽に、下記までご連絡頂ければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

Tokyo Consulting Firm Co., Ltd (ミャンマー)・ヤンゴン駐在員
西野由花(Nishino Yuka)

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報を基に、細心の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても情報提供者及び弊社は、一切の責任を負うことはありませんので、ご了承くださいませ。


【参考】
https://www.jica.go.jp/project/myanmar/028/news/20190527.html
https://iplaw-net.com/doc/2019/chizaiprism_201904_1.pdf

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