ミン・アウン・フライン政権、上海で対中投資誘致を本格化――その構造と背景

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループ、ミャンマー拠点の渡辺 晃です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「ミン・アウン・フライン政権、上海で対中投資誘致を本格化――その構造と背景」についてお伝えします。

 

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目次

ミン・アウン・フライン政権、上海で対中投資誘致を本格化

――その構造と背景

 

 「ミャンマーは中国・インド・東南アジアを結ぶ陸の架け橋です」――ミャンマーのミン・アウン・
フライン大統領は、上海においてそのように訴えました。
 6月17日、中国・上海で開催された「ミャンマー・中国投資貿易ネットワーキング・サミット」に
出席したミン・アウン・フライン氏は、中国企業に対してミャンマーへの積極的な投資拡大を呼び
かけました。本イベントは、習近平国家主席の招待による国賓訪問(6月15〜19日)の一環として
実施されたものであり、その規模および参加者の顔ぶれは大いに注目されます。

 なぜ今、「中国詣で」が続くのでしょうか?
 ミン・アウン・フライン氏が今年4月に大統領へ就任して以降、中国国内でのビジネスマッチングイ
ベントへの参加が相次いでいます。5月には黒竜江省ハルビンでのイベントに出席し、ミャンマー産
マンゴーやゴムの対中輸出を促進する覚書を締結しました。今回の上海サミットは、その第2弾にあ
たります。
 この背景にあるのは、ミャンマー軍政の深刻な経済的苦境です。2021年のクーデター以降、シャン
州やカチン州での武力衝突が激化し、中国との国境貿易は大きな打撃を受けました。年間110億ド
ルを超えていた二国間貿易額は、2024〜25会計年度には77億ドルにまで落ち込んでいます。中国へ
の依存を深めざるを得ない状況が、こうした投資誘致活動の根本的な原動力となっています。

 

上海サミットの中身を検証します

 今回のサミットには、ミャンマー側から商工会議所連盟関係者を含む270名以上の実業家が参加し
ました。中国側からも数百名のビジネスパーソンが集まり、大規模なイベントとなりました。

 

 注目すべきは、ミン・アウン・フライン氏に同行した顔ぶれです。マックス・ミャンマー・グルー
プおよびAYA銀行の会長であるウー・ゾー・ゾー氏など、クーデター以降表舞台を避けていた軍政
系の有力財界人たちが顔を揃えました。
 ミン・アウン・フライン氏はスピーチの中で、農業・再生可能エネルギー・電気自動車生産・Eコ
マース・デジタルサービスといった分野への投資を呼びかけるとともに、ミャンマー進出に関心を
持つ中国企業とも個別に会談を行いました。

「5,000億ドル」という目標の現実性は?

 今回のイベントを主催したのは「ミャンマー・中国投資貿易促進協会(MCITP)」です。軍政に近
い実業家たちが主導するこの団体は、ミン・アウン・フライン氏の指示のもと、昨年9月に設立され
ました。
 発足当初に掲げた目標は非常に野心的なものでした。2026年から2030年の5年間で、5,000億ドルの
中国投資を誘致するというものです。この額は、ミャンマーの年間GDPの7〜8倍に相当します。批
評家からは「非現実的である」との批判が相次いでいます。
 今回のサミットでは、軍政系メディアはこの数字への言及を意図的に避け、「できる限り多くの投
資を誘致する」という表現にとどめました。目標の達成可能性に疑問が生じていることの表れと見
ることができます。

中国とミャンマー、その切り離せない関係
 

 それでは、なぜ中国はミャンマーにここまで関与するのでしょうか。
その答えは地政学的な利益にあります。中国・ミャンマー経済回廊は、中国がインド洋へのアクセ
スを確保するための重要なルートです。マラッカ海峡を迂回できるこのルートは、中国にとって戦
略上きわめて重要な意味を持っています。
 歴史的に見ても、1988年から2020年の間に中国がミャンマーへ投資した総額は約210億ドルにのぼ
り、全外国直接投資の約4分の1を占めています。両国の経済的結びつきがいかに深いものであるか
がわかります。
 ただし、現状は楽観できません。中国との国境に近いシャン州やカチン州では武装勢力との衝突が
続いており、5つある公式国境貿易ゲートの大半は現在、少数民族武装勢力の管理下に置かれていま
す。
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渡辺 晃


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