合同会社と株式会社について

 

皆さん、こんにちは。

東京コンサルティングファームメキシコの黒岩洋一です。

今週はメキシコの合同会社と株式会社について記載します。

 

 

質問)

メキシコの新規進出には合同会社と株式会社があると聞いています。当社もメキシコ現地での会社設立を考えておりますが、合同会社と株式会社では何が違うのでしょうか。

 

回答)

メキシコにおいてビジネスを行う際の事業形態は、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、株式合資会社、協同組合など多岐にわたりますが、外資企業の多くは株式会社(Sociedad Anonima:S.A.)と合同会社(Sociedad de Responsabilidad Limitada:S.de R.L.)によりメキシコに進出しています。メキシコにおける新規法人設立において、主にアメリカ資本により合同会社(S.de R.L.)が設立される場合があります。

株式会社と合同会社の違いは、株式会社は資本(株式)と経営(経営者)を分離しますが、合同会社については資本(出資者)と経営(経営者)を分離せずに同一の者が行うということです。

 

合同会社(LLC:Limited Liability Company)が多く用いられるアメリカでは、LLCにパススルー課税という特典を与えています。

パススルー課税とは、出資者が経営を直接行う(出資者に利益が直接帰属するという考え方)ために、国はLLCという組織体に課税を行うのではなく、その出資者に対して課税を行う(所得をLLCから出資者にパススルーする)ことをいいます。

アメリカのLLCにおけるパススルー課税のメリットは、損益の通算および個人の配当税の回避が主となります。

パススルー課税を採用した場合に、LLCが赤字であればLLC側では税金を納める必要はなく、その赤字が出資者へとパススルーされます。そのためパススルー課税を利用すると、出資者は赤字と自身の利益とを通算して、自身の税額を低く抑えることができるのです。

 

<メキシコにLLC(合同会社:S.de R.L.)を設立した場合の取り扱い>

アメリカのLLCのメリットを考えた際には、このパススルー課税という言葉を良く聞きますが、これはあくまでもアメリカの法律上の特典であり、メキシコの合同会社(S.de R.L.)において同様の取り扱い(パススルー効果)はありません。つまりメキシコの合同会社は、それ自体が独立した事業体と考えられ、メキシコ国内においてISR(所得税)が課されるのです。

 

 

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