こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの清水皐でございます。
今週は、メキシコ人従業員の無断欠勤について記載致します。
質問)
今月に入って一週間以上無断欠勤を続けているメキシコ人従業員がいます。
メキシコでは労働者保護の意識が強く、解雇させる際はその従業員に対し解雇保証金を支払わなければならないと聞きます。
無断で遅刻や欠勤を繰り返すといった勤務態度の悪い従業員でも、無償で解雇することは難しいのでしょうか。
回答)
無断欠勤に関しましては、メキシコ連邦労働法第47条Ⅹ項に記載がございます。
* Artículo 47. Son causas de rescisión de la relación de trabajo, sin responsabilidad para el patrón:(中略)
X. Tener el trabajador más de tres faltas de asistencia en un período de treinta días, sin permiso del patrón o sin causa justificada;
雇用主の許可を得ず、または正当な理由も無く、30日間に3日間以上欠勤をした場合、雇用主は責任を負うことなくその従業員との雇用関係を終了させることができる
今回お話に上がりました貴社メキシコ人従業員は、「一週間以上無断欠勤を続けている」とのことですので、この条文に該当し、雇用側が責任を問われることなく解雇させることは可能となります。
また、第47条の最後には、解雇通知に関する注意事項の記載がございます。
* El patrón que despida a un trabajador deberá darle aviso escrito en el que refiera claramente la conducta o conductas que motivan la rescisión y la fecha o fechas en que se cometieron.
El aviso deberá entregarse personalmente al trabajador en el momento mismo del despido o bien, comunicarlo a la Junta de Conciliación y Arbitraje competente, dentro de los cinco días hábiles siguientes, en cuyo caso deberá proporcionar el último domicilio que tenga registrado del trabajador a fin de que la autoridad se lo notifique en forma personal.
(中略)
La falta de aviso al trabajador personalmente o por conducto de la Junta, por sí sola determinará la separación no justificada y, en consecuencia, la nulidad del despido.
労働者を解雇する雇用主は、解雇に至った行為や行動、および雇用された日を明確に書面で通知しなければならない。
この通知は、解雇時に労働者へ直接、または調停仲裁委員会(JCA:Junta de Conciliación y Arbitraje)へ、該当労働者の現住所情報を含め5営業日以内に届けられなければならない。
直接、または調停仲裁委員会を通じた労働者への通知を怠った場合、それだけで正当化な解雇理由と判断されず、結果としてその通知は無効となる。
ただし、ご認識の通りメキシコは労働者保護の観点が強く、上記の理由で解雇通知を受け取った従業員にも、職場への復帰の要請や解雇保証金等を企業側に求める権利が与えられています。
また、無断での遅刻については残念ながら、正当な解雇理由と見なされるのは難しいことと存じます。
こういった事態を避けるために、就業規則や雇用契約書の見直し、また評価制度内の無断欠勤等に対する項目を厳しくする等の対策を推奨致します。
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*引用元「Ley Federal del Trabajo(メキシコ連邦労働法)」
https://www.juridicas.unam.mx/legislacion/ordenamiento/ley-federal-del-trabajo#31734
清水皐