『損益計算書(Estado de Resultads)』の読み方~基礎編~

こんにちは。
東京コンサルティングファームメキシコの吉田 幸弥です。

前回は“損益計算書(Estado de Resultads)”の利益の種類について、解説してきました。

まだ、見てない方はリンクを貼り付けておきますので、ぜひ以下のリンクからご確認ください。
「『損益計算書(Estado de Resultads)』メキシコの利益は4つ?」

そして、今回のテーマは「『損益計算書(Estado de Resultads)』の読み方~基礎編~」についてです!

 

【はじめに】

前回解説通り“損益計算書(Estado de Resultads)”にはいくつかの利益が記載されています。

では、その利益からなにを読み解いていけばいいのか。
どのようにその利益を見ていけばいいのか。

そんなことを解説していきたいと思います。

 

例えば、売上総利益では利益が出ているのに、営業利益では損失が出てしまっているケースがよくあります。
そういった場合、販管費を削ればいいと判断することになるかもしれません。

しかし、販管費のどの部分を削っていけばいいのでしょうか。
販管費の全てを同じ割合だけ削っていけるわけではありません。

この販管費は削れないというようなものもあると思います。

 

“損益計算書(Estado de Resultads)”を見れば、なにが原因で利益が出ていないのかを探ることが出来ます。

 

【比較方法】

“損益計算書(Estado de Resultads)”を読み解いていくために、まず必要なことは『比較』です。
比較の方法はいくつかありますが、今回は2つの比較方法を紹介します。

 

・年次比較

 “損益計算書(Estado de Resultads)”は1年間の企業の成績であるため、年次での比較が大事になります。
どの会社も成長していくことを望んでいるかと思います。

その成長を見ていくには、去年より今年、今年より来年といったように毎年業績が良くなっているかを見る必要があります。

多くの会社ですでに年次比較は行なっていますが、基本的には「前年と当期との比較」「当期と予算との比較」の2つの比較しか行なっていない。

この2つだけでは足りません。
少なくとも前前期との比較も必要です。

つまり、当期を合わせた最低でも3期で比較する必要があります。
なぜなら、“損益計算書(Estado de Resultads)”は経済環境の変化の影響を受けるので、2期で比較するだけでは、変化がわかりづらいからです。

 

・同業他社比較

同業他社の決算書を入手して比較することも、自社の競争力を知る上で大事になります。

同業他社と比較することにより、自社の強みや弱みを見つけ出すことが出来きます。
そのため、経営改善をしていく上で、とても役に立ちます。

また、同業他社の規模が大きい場合には、金額で比較するのではなく、売上を100とした場合の比率で見ていく必要があります。
同業他社がわからない、同業他社の決算書が入手できない場合には、業界平均を見ていくことも有効です。

また、この2つの方法は“損益計算書(Estado de Resultads)”だけでなく、“貸借対照表(Balances Generales)”を比較する上でも役に立つ考え方です。

 

【各利益の読み方】

1、売上総利益(Utilidad bruta)

売上総利益は1つ1つの取引で稼ぎ出した粗利益の合計額です。

年次比較等により売上総利益が異常であるとわかった場合には、1つ1つの取引の販売価格や仕入原価とのバランスがどのように変化したかを考える必要があります。

例えば、今年から仕入原価が前年の50%上がったが、販売価格を変えなかった場合、売上総利益は前年に比べ下がることになる。

販売価格は通常、同業者の新規参入や需要と供給、モデルチェンジなどに影響を受ける。
仕入原価(売上原価)は市場の影響だけでなく、倉庫費用や在庫不良や在庫数不足など在庫ロストといったコストによって影響を受ける。

つまり、売上総利益に異常が見つかった場合には、経済環境や自社在庫に異常が起きていないかを見ていく必要があります。

メキシコにおける在庫の見直しについては、以下のブログを参考にしてみてください。

 

2、営業利益(Utilidad de operacion)

営業利益に異常がある場合には、販管費をきちんと検討する必要があります。

販管費を検討していくためには、販管費を費用の目的別にグループ化した方がわかりやすくなります。
実際には、以下のように、わけていくとわかりやすくなります。

 

・人件費

経営資源の1つであり、1番大事な資源であるヒトに関わる費用
例)給料手当、賞与、退職金、法定福利費、福利厚生費など

会社のパワーとなる費用のため、なかなか削ることが難しい。
人件費を増やしていく時に気をつけていかなければいけないのは、賃金上昇率である。

ここを戦略的に決めていかなければ、納得いかずに辞めていく社員もいれば、大して貢献していない社員に対して多くの昇給をしてしまい、生産性が低い社員も出てきてしまう。

メキシコでは、とりあえずインフレ率だけ上げなければといけないという固定概念が多くの会社ではある。
しかし、ここはきちんとコントロールしていかなければ、なかなか成長していかなくなってしまう。

メキシコの人件費のコントロールについては、以下のブログを参考にしてみてください。

 

・営業経費

営業活動をしていく上で必要な費用
例)荷造発送費、広告宣伝費、交際接待費、会議費、旅費交通費など

 

広告宣伝費などの販売促進のために使った費用は直接売上に関わってくるため、どれくらいの効果があるのかといった費用対効果が大事になってくる。
そのためには売上との連動性をみていく必要があります。

また、旅費交通費などは面談をオンラインで行なうことにより、移動を減らすことで、抑えることが出来る。
これからの時代では、交際接待費や会議費、旅費交通費などが本当に必要なのかを見直す必要があります。

 

・事業経費

事業活動をしていく上で必要な費用
例)通信費、事務用品費、水道光熱費、新聞図書費、地代家賃など

事業経費は、事業活動に必要な費用なので、なかなか削ることが難しい。
通信や水道光熱費や地代家賃などは難しいが、事務用品費は無駄なものを買っていないかなどは見直す必要があります。

 

・設備費

設備を維持していくための費用
例)リース料、減価償却費、修繕費

事業費同様、なかなか削減することが難しい。
しかし、使っていない設備や必要のない設備がないかなどは定期的に見直す必要があります。

 

・未来費

将来の投資のために使った費用
例)研修費、研究開発費、コンサル報酬

将来の売上につながるための費用として考える必要があるため、よほどのことがない限り、削減することはないでしょう。
ここを無理に削減してしまうと将来の売上が下がってしまう可能性があります。

 

・その他

上記以外の費用
例)寄付金、諸会費、雑費

もしかしたら、無駄に払っているものや本来他の費用科目として処理しなければならない費用が雑費に含まれていたりすることもありますので、念のため確認が必要です。
メキシコでの会計数値(数字)の読み方(チェックのポイント)について

 

販管費を下げれば営業利益を上げることは一時的に上げることは出来ますが、広告宣伝費や人件費、未来費な費用まで削ってしまうと、その後の売上総利益を下げてしまうこともあります。

また、メキシコではPTUなどもこの販管費に含まれます。
PTUについては下記のリンクをご確認ください。

なので、販管費に関しては、なんのために費用を使用しているのかを見ていく必要があります。

 

3、経常利益、税引前当期純利益(Utilidad antes de impuesstos la utilidad)

経常利益の異常な要因は、前回でも解説したとおり特に、メキシコでは為替差損益の影響が大きいです。
また、営業外費用である支払利息にも注意する必要があります。

為替差損益については以下のブログを参考にしてみてください。

 

4、当期純利益(Utilidad neta)

税金が大きく関わってくるため、益金損金についても理解しておく必要があります。
益金損金については以下のブログを参考にしてみてください。

 

【おわりに】

ここまで利益に異常がある場合に見ていくポイントを簡単に解説してきました。

おそらく、どの会社でも会社を良くするための施策をこれまで行なってきたかと思いますがその施策は損益計算書(Estado de Resultads)のどこの部分を良くするための施策なのかを説明できますか。

結局、会社の成長は数字でしか説明出来ません。

会社の数字がよくなるような施策でなければ、その施策は意味ないですし、もしその施策がどこの数字を改善していくものなのか説明できなければ、その施策の効果を確認できません。
なので、数字と結びつけた施策を立て、実行をし、検証をしていく必要があるのです。

 

私たちは、数字を結びつけたPDCを高速で回していくために月次経営戦略書というものを自分たちで作成し、毎月会社の状態がどうなっているのかを見ています。
さらに、いち早く前月の結果がどうなっていたかを見るために、1営業で会計を固めています。

月次早期化、月次経営戦略書(下図を参照)によって早くチェックし、分析をし、実行に移していくことが会社を速く成長させていくためには不可欠になりますので、もし、まだ出来ていないようであれば、今月から早めていくようにしましょう!

今回は以上となります。
また、次回もよろしくお願いします!


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株式会社東京コンサルティングファーム メキシコ拠点
吉田 幸弥

※)記載しました内容は、作成時点で得られる情報をもとに、最新の注意を払って作成しておりますが、その内容の正確性及び安全性を保障するものではありません。該当情報に基づいて被ったいかなる損害についても、情報提供者及び当社(株式会社東京コンサルティングファーム並びにTokyo Consulting Firm Co., Pte. Ltd.)は一切の責任を負いません。ご了承ください。

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