税務申告の発生義務と税務番号/課税番号

税務

インドネシアにおける課税義務はNPWP(課税番号)を取得した時から、発生します。したがって、当該番号を取得した翌月から、たとえ取引が発生していなくても、ゼロで申告する必要があります(PPh21と呼ばれる従業員源泉税ならびに、PPh25と呼ばれる前払い法人所得税およびVAT)。また申告が遅延した場合のペナルティもあります(一つの税目につき、100.000ルピア)。

また、似たような税務番号の種類にPKP(課税事業主番号)があります。こちらを取得した日から、VATを計算、納付します。原則として6億ルピア以上の売り上げの企業はPKPを取得する必要があるので、通常、日系企業は設立の段階で取得をします。

問題なのは、コンサルティング会社の中で、これを取得することをサービスのテーブルの中に入れていたり、入れていなかったりとまちまちであることが間々あります。特に、製造業の場合、設立当初に土地の取得代金などの大きな支払いがあることが多いので、その場合にVATの還付もしくは繰り延べができなくなることは大きな損失といえます(※VATは毎月末、申告納付をします。もし仕入VATが多い場合、翌年に繰り延べることが可能です)。上記は、確認一つの問題ですので、きちんと設立当初から確認を入れておきましょう。

もう一つ問題があるのは、NPWPの取得についての手続きと税額申告義務との矛盾がある点です。つまり、NPWP取得のためには、新会社の代表の個人のNPWPが必要で、加えて、個人のNPWPを取得するためには、KITASの取得が必要とされています。その一方で、KITASは会社設立の一連のプロセスが終わった段階でようやく手続きを開始することが可能です。そして、NPWPは、会社口座開設のために必要な書類の一つと位置づけられています。

すなわち、異なる規制手続きが混在しており、本来的に設立後でなければ取れない書類が、設立中に必要となってくるという実務上の矛盾が生じている状況となっています。これを回避するために、税務当局と事情を「説明」ならびに「交渉」をすることになります。

派生して、このように、個人のNPWP取得については原則としてKITAS/IMTAが前提となります。したがって、NPWPを取得していないが、当地で給与をもらっているという駐在員がでてきますが、この場合は、NPWPを取得するまでの間は、持っているものとして計算した税額の20%増しで税金を納めることになります。

上記のようなデメリットをきちんと理解したうえで、自社の設立プロセスが適正に行われているかの確認をすること、および設立後も特に個人のNPWPの取得は忘れがちなところですので、取得手続き、タイミングを確認しておくことが必要です。

東京コンサルティンググループ
インドネシア現地法人代表
社会保険労務士 加藤大和

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