インドネシアの新社会保障機関BPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)について

労務

今回は、2014年1月より発足されたインドネシアの新社会保障機関BPJS(Badan Penyelenggara Jaminan Sosial)について取り上げます。こちらは国民皆保険となり国民全員に加入義務を定め、全国民の加入を目指すものであり、これまでの社会保障制度とは異なるものとなりました。また、私たち外国人にも加入義務が課されておりますため、加入方法や保険料、保証サービス等、以下に取り上げます。

 

2014年1月よりこれまでの社会保障制度であったJAMSOSTEKがBPJSに変更され、新しい社会保障制度が開始されました。BPJSには健康保障および労務保障を管轄する2つの機関があり、内訳は以下の通りです。

・BPJS Kesehatan:健康保障機関。(JAMSOSTEKの健康保険部門)2014年1月1日より新健康保障制度が開始されました。

・BPJS Ketenagakerjaan:労務保障機関。(JAMSOSTEKの労災補償、老齢給付、死亡保障部門)今しばらくは従来のJAMSOSTEKの労務保障を続けた後、2015年7月1日には退職補償を加えて正式稼働を目指しています。

 

新設された健康保障制度の詳細について、ご報告致します。

以前までは、インドネシア国民2億3000万のうち、約半数が無保険者であると言われており健康保障制度に加入していない人も多かったですが、本新制度により、BPJS加入が義務化され、全国民が加入するまで段階的に進めていくことになりました。

国民対して平等であること、相互補助を行うことを理念としているため、全国民は老若男女問わず、軽い病気から重症なものまで平等に医療サービスが受けられるという反面、加入は義務化されています。外国人に対してもインドネシアにて6か月以上就労している外国人は、全員加入の義務があります。例外として、外交官等外交特権を持っている外国人は免除されますが詳細については外務省に問い合わせる必要があります。

 

「加入者のカテゴリー」

・Non PBI ①会社員 ②自営業者 ③働いていないが保険料支払い能力者(年金受領者等)

・PBI(保険料補助サービスを受ける人)④保険料補助の金額により2つのカテゴリーに分けられます。

それぞれのカテゴリーにより保険料の金額、支払い者、医療行為以外の受けられるサービスの範囲が変わってきます。

 

「保険料」

①会社員 雇用主に保険料の支払い義務あり。

給与(基本給+定額の手当)の4.5%⇒雇用主4%、従業員0.5%

給与の上限4,725,000ルピア。

最大5人の家族まで含まれる。(本人+配偶者+子供3人まで)

2015年7月1日より5%⇒雇用主4%、従業員1%になる予定。

 ②自営業者 ③働いていないが保険料支払い能力者 本人に保険料の支払い義務あり。

      Class 1:59,500ルピア/月/人

Class 2:42,500ルピア/月/人

Class 3:25,500ルピア/月/人

 ④PBI 政府に支払い義務あり。

     19,225ルピア/月/人

※夫婦で共働きの場合はどちらか一方での加入ではなく、それぞれがBPJSに加入し、保険料支払いの適用を受けることになります。

 

 「加入手続き」

保険料支払い義務者がBPJSへの登録申請書に必要事項を記載し、BPJS申請に行きます。そこでヴァーチャルアカウントを発行してもらい、それを持って銀行にて保険料の支払いを行います。保険料の支払い証明書をBPJSへ提出することで、加入証明カードが発行され、医療機関での医療サービスを受けることが出来るようになります。

 

 「サービス内容」

医療サービスについては、納める保険料や上記のClassが異なっていても平等にサービスを受けることが出来ますが、BPJSのサービスを受けるためには、緊急の場合を除いて、以下の通り、順序を踏まなければなりません。

 

Ⅰ初期健康サービス⇒Ⅱ二次、三次健康サービス⇒Ⅲ厚生労働大臣により規定されたその他の健康サービス

 

Ⅰ初期健康サービス:予防のためのサービス、検査、治療、医療相談、被専門医による診療や手術、処方等が含まれます。

Ⅱ二次、三次健康サービス:専門医による検査、治療、医療相談、被専門医による診療や手術、処方等が含まれます。また入院患者への治療や集中治療室での治療も含まれます。

※入院の際の病室のグレードはClassにより異なります。

Ⅲ厚生労働大臣により規定されたその他の健康サービス:眼鏡の購入、歯の治療、補聴器、義手義足、コルセット、松葉杖等について一定の金額まで補助を受けることが出来ます。

 

上記のサービスはインドネシア国内での医療サービスに限られ、美容関係、不妊治療、薬物に対する治療、歯の矯正等は含まれません。

 

 BPJS加入の際に、初期健康サービスを受ける医療機関を1つ登録し、最初はその登録した医療機関で診断を受ける必要があります。その後、その医療機関の紹介により、専門医やより大きな病院での診療が受けられるようになります。

 

 「COB:Coordination of Benefit」

BPJSのサービスに加え、更に保障やサービスを厚くしたい場合に、民間の医療保障サービスに加盟することが出来ます。BPJS担当者によれば、BPJSと提携している保険会社や医療機関を今後増やしていき、 今後はこのCOBに対しても国民が利用しやすくなるように

手を広げていく方向性を示しています。

 

当社ではインドネシアにおける事業化調査、事業拠点の設置、会計・税務、人事・法務の支援をしております。本BPJSについてのご質問も承っておりますので、

お困りのことがあればお問合せ下さい。

 

<新サービス登場>

                          

海外進出質問サービス

 

ページ上部へ戻る