中国での事業拠点の設立-外商投資株式会社の設立手続

外商投資株式会社(外資株式会社)はすべての資本が均等額の株式で構成され、株主は引き受けた株式を上限として会社の責任を負う形態で、日本の株式会社に似ています。ただし、中国で外商投資株式会社を設立する場合、さまざまな条件が存在します。
・ 最低1名の外国株主が必要
・ 国内外の株主が共同して株式を保有、かつ外国株主が保有
・ 会社の登録資本金の4分の1以上の株式が必要
・ 最低登録資本金額は3,000万元
日本企業が外商投資企業の形態で進出するケースは稀です。この形態で進出するメリットとして、日本の株式会社と同様、将来的な上場による資金調達ができることがあります。その他、投資額が大きくなることで外部からの信頼性が増すため、銀行からの融資を受けやすくなることも挙げられます。資本金額が小さいと設立許可が下りないというデメリットがあります。
外商投資株式会社の設立には大きく分けて新規設立と変更設立の2つの方法があり、その他、外国側出資者が発行する株式会社の株式を登録資本金の4分の1以上引き受ける資本参加による設立もあります。
■新規設立
新規設立は、はじめから外商投資株式会社として設立する方法で、発起設立と募集設立に分けられます。
[発起設立]
発起設立は、会社が発行する株式の全部を発起人が引き受けて会社を設立する方法です(会社法78条)。発起設立により新規設立を行う場合には以下の条件をすべて満たさなければなりません。
・ 発起人2名以上20名以下で、そのうち半数以上が国内住所を持つ(同法79条)
・ 発起人のうち、最低1名は外国株主(外国投資株式会社の設立に関する若干問題についての暫定規定6条)
[募集設立]
募集設立は、会社が発行する株式の一部を発起人が引き受けて、それ以外の部分は公開募集または特定の対象者に募集して会社を設立する方法です(会社法78条)。募集設立により新規設立を行う場合には、以下の条件をすべて満たさなければなりません。
・ 発起人2名以上20名以下で、そのうち半数以上が国内住所を持つ(同法79条)
・ 発起人のうち、最低1名は外国株主(暫定規定6条)
・ 発起人のうち、最低1名は株式募集前に3年間連続して利益を得ている記録があること(同規定6条)。また、同一人が外国株主である場合は、所在地の注冊会計師による監査報告書の提出が必要。発起人が会社設立に合意後、その設立手続を1名の発起人に共働して委任することが可能

■変更設立
変更設立は、既存の有限会社形態の外商投資企業を外資株式会社へ組織変更する手法です。
[設立要件]
変更設立により新規設立を行う場合は、出資者および最低資本金等以外にも以下のような要件があります。
・ 外商投資企業の設立後3年以上が経過し、かつ直近3年間連続して利益を上げている
・ 当初の外商投資企業の出資者が外資株式会社の発起人となり会社の設立合意書、定款を作成し、当初の許認可機関の審査を受ける
・ 当初の外商投資企業の権利、義務はすべて外資株式会社が引き受ける
[提出書類]
変更設立の手続を行う際には、以下の書類が必要です。
・ 当初の外商投資企業の契約書、定款
・ 当初の外商投資企業の会社の組織変更に関する決議
・ 当初の外商投資企業の投資者の契約書、定款の終了に関する決議
・ 当初の外商投資企業の資産評価報告書
・ 発起人の合意書
・ 会社の定款
・ 当初の外商投資企業の営業許可証
・ 会社設立申請書
・ 発起人の信用証明
・ フィージビリティスタディ報告書
[変更手続]
外商投資企業の当初の出資者が発起人として会社の組織変更の合意書、定款に署名した後、当初の外商投資企業の所在地の認可機関に提出します。一次審査の承認後、商務部の認可申請をし、発起人が認可証書を受領し、引き受けた出資額の払込完了後、会社の登記機関へ登記変更手続を行います。
[参考資料①]外商独資企業の設立スケジュール

[参考資料②]外商独資企業の設立に必要な情報

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