中国での事業拠点の設立-現地法人の支店(分公司)の設立

外国企業の支店設立は、法律上禁止されていませんが、一般的に銀行のような金融等特殊業界を除き、支店の設立は認められません。ここでは現地法人の支店の設立について述べます。
[設立条件]
分公司を設立するための条件は原則として以下のとおりです。
・ 親会社が開業1年以上かつ登録資本金が全額払込まれている
・ 生産活動が正常に運営されており、既に製品を販売している

■董事会での分公司の設立決議…❶
新たな分公司の設立は企業にとって大きな影響を与えることになります。そのため、董事会の決議が必要となります。
■営業許可証のコピーを取得…❷
本社を所管する工商行政管理局からの同意を得て、分枝機構設立同意通知書と工商行政管理局公印を捺印した営業許可証の写しを取得します。
■所管する工商行政管理局に登録申請…❸
分公司設立地を所管する工商行政管理局に登録申請して、分公司に対する営業許可証を取得します。
現地法人は、会社の定款および会社登記証明書などの関連文書をもって中国の主管機関に申請を提出し、認可を経たのち、会社登記機関で法に従い登記を行い、営業許可証を受領することにより中国で支店を設立することができます(会社法193条)。
支店の設立に関する審査許可規定は国務院が別途定めるとされていますが、現在まで、外資銀行管理条例および外資保険会社管理条例の公布により、現地法人として支店の設立が認められているのは銀行と保険会社のみで、メーカーやサービス業等は明確な法律根拠がないため、中国に支店を設立することができません(同法193条2項)。銀行と保険会社の支店の設立は法令に基づき、いずれも厳しい条件を満たしたうえで、それぞれ銀行行政監督管理機構(銀監会)と保険監督管理委員会(保監会)の承認を経て、相応する営業許可証を取得し、工商行政管理機関で登記を行う必要があります。
WTO加盟による規制緩和に伴い、銀行と保険会社の支店設置が急速に増えています。銀行業に関しては外資銀行管理条例およびその実施細則の施行により、現地法人化を条件に中国人に対しての人民元建てリテール業務が可能となるため、外国銀行の支店の現地法人化が相次いでいます。支店は営業ができるため、活動、経営活動に相応する資金を支給しなければなりません(同法194条)。支店は法人格を有さないため、中国国内で行う経営活動についての民事責任は、現地法人が負うことになります(同法196条)。

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