皆様こんにちは、カンボジア駐在員の西山です。
今回は「税務アップデート・年功補償」についてお話しします。
2019年3月22日、労働省より、2018年9月21日に公布された年功補償に関わるPrakas443の内容を一部改訂するガイドライン042/19情報が通達されました。このガイドラインは、縫製業界以外の遡及的年功補償の支払いについて規定するものです。
遡及的年功補償は、2019年から支払い開始とされていましたが、このガイドラインによると、縫製業界以外の企業は遡及的年功補償の支払いは2021年まで延期され、支払い基準となる日数も年間15日分を3日分ずつ、6月と12月にそれぞれ分割にて、過去1年分を2.5年かけて支払います。
例えば、2018年1月1日雇用(無期労働契約)で、1年間の平均給与に対する日当が10米ドルの場合、企業は従業員に対し遡及的年功補償150米ドル(15日分)の支払義務を負うことになり、支払いは下記の表のようになります。
支払年月 | 支払金額 |
2021年6月 | 30米ドル(3日分) |
2021年12月 | 30米ドル(3日分) |
2022年6月 | 30米ドル(3日分) |
2022年12月 | 30米ドル(3日分) |
2023年6月 | 30米ドル(3日分) |
企業の遡及的年功補償15日分の支払い義務を、2021年以降3日分ずつ分割にて支払っていくことになります。
なお、縫製業界の企業は以前の規定がそのまま適用され、遡及的年功補償については年間30日分支払う必要があります。
ただし、2021年の支払い開始までの間、または支払いを開始してから支払いが完了するまでの間に重大な規約違反、定年退職及び死亡以外の如何なる理由におけても従業員が退職または解雇となった場合、企業は遡及的年功補償の全額を支払わなければなりません。重大な不正行為等の理由により退職または解雇された従業員に対しては、支払う必要はないとされています。
このガイドラインにより遡及的年功補償の適用延期が明確となりましたが、計算方法や使用期間の扱い、有期雇用契約から無期雇用契約への変更に伴う期間の適用など、明確になされていない部分が残っています。
なお、このガイドラインは2019年以降の年功補償については触れておらず、これまでの規定が適用されます。そのため、年間15日分の年功補償を7.5日分ずつ、6月と12月にそれぞれ支払わなければなりません。
株式会社東京コンサルティングファーム カンボジア拠点
西山 翔太郎
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