カンボジアの進出法務について

法務

 

こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。

今日は進出形態の選択についてご説明したいと思います。

進出形態としては以下が想定されます。

①駐在員事務所

②支店

③現地法人

④パートナーシップ

⑤個人事業

 

①から④に関しては法律上の規定が存在しています。⑤に関しては実務上実態が存在しています。個人事業に関して、カンボジアでは税制面で負担が軽いと思います。税務の負担が軽いことを理由に個人事業を選択する方もいらっしゃいます。

 

①駐在員事務所

 

駐在員事務所は親会社の連絡、情報収集等を目的として設置されるものであるため、国内で商品の売買やサービスの提供などは行うことができません。また、雇用契約、賃貸借契約、水道光熱費の契約を除き、契約主体になることはできません。またQIPの適用はありません。課税に関しては、法人税については対象外であり、給与税、源泉徴収税および年間事業税については課税対象外となります。

 

 

②支店

 

支店は独立した法人格を有したものではないですが、事業を行うことができます。商品の売買やサービスの提供の契約主体となることができます。また、駐在員事務所と同じようにQIPの適用はありません。税務に関しては法人税も課税されることになります。

 

③現地法人

 

現地法人は独立の法人格を有し、原則的に有限責任会社となります。カンボジアの外資規制は緩いため、100%外国資本でも法人を設立することが可能です。QIPの適用が可能です。有限責任会社は私的有限責任会社と公開有限責任会社に分類されます。

A私的有限責任会社 株式譲渡制限が必要であり、株主は1名以上30名以下となります。

 1名以上の取締役の選任が必要

B公開有限責任会社 株式の一般公開が認められ、3名以上の取締役の選任が必要。

取締役の国籍や居住地などの制限はないため、非居住者であってもOKです。

株主の責任は有限責任であり、株主の責任は出資した資本金に限定されます。

税務に関しては法人税も課税されることになります。

 

④パートナーシップ

 

パートナーシップは医者や弁護士などの専門家に適した会社法上の形態です。2つの形に類型化されます。

Aジェネラル・パートナーシップ

日本では任意組合と性質が近いものといえるでしょう。2名以上の自然人もしくは会社が事業を営むために契約を締結します。パートナーは共同出資者として利益を共有し、債務に関しては無限責任を負います。

Bリミテッド・パートナーシップ

日本では有限責任事業組合と性質が近いものといえるでしょう。1名または複数のジェネラル・パートナーと同じく1名または複数のリミテッド・パートナーとの間において、契約を締結します。ジェネラル・パートナーは運営などに関しても拘束を受けますが、リミテッド・パートナーは資本のみ拘束を受けます。パートナーは利益を共有しますが、責任の度合いにより利益配分は異なることが一般的です。

 

このパートナーシップ契約は法律上は制定されているのですが、実務上は制度として運用されていない状況です。実際に企業進出を行う上でこの形態を選択するのは現段階では難しいといえるでしょう。

⑤個人事業

 

個人事業主に関する政令は特に存在していませんが、商業省での個人事業主の登録が認められているため、個人での進出も可能です。税務上の負担が軽いというメリットがありますが種々のリスクも検討する必要があるといえます。

 

次回は進出企業が選択に迷うことが多い支店と現地法人の比較について説明したいと思います。

 

以上です。

 

 

 

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