皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
さて、今回のテーマは「報酬に値する判断力」です。
ドラッカーは、その著書の中で次のように述べています。
「報酬を支払われるのは、判断力に対してであって無謬性に対してではない。マネジメントは、自らの過誤を認め受け入れる能力に対しても報酬を払われている」
通常、自らの失敗を受け入れることは、トップマネジメントになるほど難しくなります。
例えば、ドラッカーの著書でも触れられていますが、あのエジソンでもそうでした。
発明家としては柔軟であったが、経営者としては硬直的な面があったようです。
彼のメンロパークにある実験所は大きな成果を残していますが、ドラッカーはエジソンを経営者不適格だったと指摘しています。そして、現代のハイテク企業の多くがエジソン的失敗に陥っていると言っています。
確かに、有能な技術者や専門家が設立した会社は、初期は成功しても組織が大きくなるにつれて失速するケースが後を絶ちません。初期の成功が忘れられず、判断力が鈍るのでしょう。自分たちがやってきたこと、信じて止まなかったことを否定する事態が起きた時、どうするか。自分たちのやり方は正しいと頑なに主張するのか、信じていたことが間違っていたかもしれないと認めるか、どちらの態度を取るかでその後の戦略は大きく異なってきます。
環境が変われば、当初の計画に変更が生じるのは当然です。リーダーに必要なのは間違いや失敗を恐れ正しさに固執することではなく、間違いや失敗をきちんと受け入れた上で、次に正しい判断を行うことでしょう。
澤柳 匠