カンボジア企業経営への心得

経営

皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。             

さて、今回のテーマは「利益の幻想」です。

 

利益の幻想

ドラッカーはその著書「すでに起こった未来」において、利益について、「利益なるものは存在しない」とし、利益を ①資金コスト、②事業遂行のコスト、③事業存続のコストの3つのコストと位置づけています。

「利益に関する最も基本的な事実は、「そのようなものは存在しない」ということだからである。存在するのは、コストだけなのである。 いわゆる利益と称され、企業会計において報告されているものは、次の三つの測定可能な真のコストである。 第一に、重要資源に対する真のコスト、つまり資金コストである。第二に、あらゆる経済活動に付随するリスクや不確実性に対する保険のコストである。第三に、明日の雇用や年金のためのコストである。 (中略) マネジメントは利益などというものは存在しないことを、自分自身にも社会にも徹底的にたたき込まなければならない。存在するのはコストのみである。それは事業遂行のコスト、事業存続のコストである。あるいは労働コスト、原材料コスト、資金コストである。」

この観点から見るならば、いわゆる利益なるものは存在しないことになります。事業存続のコストが存在するだけであり、こうしたコストを生み出すことは企業の責任そのものであると解釈できます。

ドラッカーもその著書で触れていますが、多くの企業が再度認識しなければならない点として、利益を事業の目標としたとき、利益は、「計上しなければならない最小限の利益はいくらか」となります。利益を考える時に、「今期、最大でいくらの利益を計上できるか」は、「最低でもいくらの利益が確保できるか」と同様に重要でありますが、「最大いくらの利益が必要か」と考えること自体には意味がないと言えるのです。

更にドラッカーは、以下のように述べています。
「利益至上主義の経営は、売上至上主義へと形を変え、働く人への過酷なノルマと、使い捨て人事で象徴されるブラック企業を生む要因となる。この経営は、結果的には未来の経営を危ういものとする。企業はいかなるときにでも、現在と未来のバランスを保つ経営が重要なのである。」

我々は、利益の最大化に焦点を当てるのではなく、顧客の創造という企業の本質が事業計画とその実行に反映されているか常に確認しなければなりません。

 

 

澤柳 匠

 

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