■カンボジアの租税
皆様こんにちは、カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。
今回はカンボジアの「その他の租税」についてご説明いたします。
輸出関税
カンボジアにおいて一定の物品等の輸出を行う際には、輸出関税を納付する必要があります。輸出関税率は製品によって様々な異なる税率が定められています。輸出関税は国の財源確保のために例外的に定められているケースが多いです。
輸入関税
通例、関税というものはこちらを指します。
カンボジアにおいて免税措置(※1)がない限り、原則としてカンボジア入国時点においてすべての輸入貨物に輸入関税が課されます。基本税率として0%、7%、15%、35%の4つに区分されています。
また、相手国に製品を輸出する際に、相手国税関に輸入関税を支払う必要があります(※2)
※1免税措置には以下のようなものが挙げられます。
適格投資プロジェクト(QIP)
アセアン自由貿易協定による特恵関税率
※2一般特恵関税制度(GSP)により、後発開発途上国であるカンボジアはより多くの製品の免税や税率等の引き下げ等の優遇措置を受けることができます。
特定商品・サービス税
特定の輸入品や国内の商品、サービスに関しては、特定商品・サービス税が課されます。
供給者は毎月、翌月の10日までに特定商品・サービス税の申告及び支払を行う必要があります。輸入品については、輸入時に税関に支払う必要があります。
税率は以下のように規定されています。
・石油・ディーゼル、ガソリン・・・・・・・・・・・・・・・・・10%、25%、33%
・車両とスペアパーツ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15%、25%、45%
・125CC以上のバイクと関連部品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10%
・カンボジアで販売される国内および国際航空券・・・・・・・・・・・・・・・ 10%
・炭酸のようなものでアルコールが入ってない飲料・・・・・・・・・・・・・・ 10%
・タバコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10%
・SPAを含む遊園・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10%
・国内および国際通信サービス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3%
・タイヤ、インナーチューブとカバーなど・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15%
・ビール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25%
・ビール以外のすべてのアルコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10%
(出所 JATRO)
■カンボジア企業経営への心得
皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
今回は、前回考察したカンボジアにおける企業経営でのお困りごとの1番目、「人の問題」についてお話しします。
カンボジアでよく耳にする「人の問題」の多くは、現地日本人とカンボジア人社員の立場による危機感のギャップです。
せっかく育てた社員が突然転職してしまった、計画を立てても社員の行動が伴わないなど、現地責任者としての日本人と給与のために働く従業員との危機感では非常に大きな違いがあり、多くの企業がそのギャップを埋めることに苦労しています。
このようなギャップが起こる一つの要因として、多くのカンボジア人がスキル志向であるということが挙げられます。カンボジア人社員の意識が技術や経験といった自身のキャリアアップに向いていることが、短期間での転職や仕事の生産性を落としているのです。
しかし、スキル志向であることそのものが真の問題であるとも言えません。カンボジアのような弱肉強食の色が強い労働市場では定年退職など望める会社が多くあるはずもなく、年金もない、保障もないカンボジア人にとっては自分の能力だけが頼りとなります。そのため、スキル志向であることがむしろカンボジア人にとっては普通の状態であるといえるでしょう。
それでは、企業はどうしたらこの危機感のギャップを解消できるのか。
次回はこのギャップ解消のための手法についてお話ししたいと思います。