資本について(カンボジア会社法に基づいて)

経営

皆様、こんにちは。カンボジア駐在員の公認会計士の熊谷です。

今週はカンボジア会社法に基づいて資本についてご説明させていただきたいと思います。

カンボジアでは会社は特別決議の承認を得ることによって増資を実施することができます。増資を実施する際、会社は新たな株主から資金を得て、その分資本を増額する処理を行うことになります。IFRS上、全額資本金とすることもできますが、任意で資本剰余金にいくらか振り分けることもできます。しかしながら、カンボジアの会社法の規定には資本剰余金の規定はありませんので、実務上は全額資本金として計上することがほとんどといえます。

 

カンボジアでは、会社は特別決議の承認を得ることによって減資を実施することができます。減資の際の会計処理は、基本的に資本金を減額し、株主に会社財産を返す際は、現金預金等の資産項目を減額することになります。

仮に以下の要件に該当する場合は、特別決議の承認を得ても減資することはできません。

・減資を行った後、債務が支払えなくなる場合

・資産の正味実現可能価額が債務額を超えない場合

 

 カンボジアでは、会社は定款の定めに基づいて自己株式を取得することが認められています。自己株式の取得は経済実態に着目すれば、株主に対する出資の払戻を意味します。したがって、会社の財産の浸食の危険性がありますので、自己株式の取得に関しても制限を設けています。

 以下の要件に該当する場合は、自己株式を取得することはできません。

 ・自己株式取得の対価の支払後、債務が支払えなくなる場合

 ・資産の正味実現可能額が債務額を超えない場合

 

 カンボジアでは、会社は剰余金の中から配当を行うことができ、現金の他、現物資産、株式の発行などの形で利用することができます。配当の内容は取締役会で決定しますが、株式総会の普通決議の承認により効力を有します。配当に関しても、会社の財産の浸食の危険性がありますので、以下の制限を設けています。

 

・配当の支払後、債務が支払えなくなる場合

・資産の正味実現可能価額が債務と資本金額の合計額を超えない場合

 

 

今週は以上です。

 

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