皆様こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
さて、今回のテーマは「優秀な人材を育てられる」です。
ドラッカーは、その著書の中で次のように述べています。
「成果をあげる者にとっては、自己啓発が人格形成につながる」
現代社会では、一人ひとりの人間の自己啓発が、企業、公的機関、病院などの組織の仕事ぶりと発展にとって中心的な意味を持ちます。それこそが組織が成果をあげるための道であると言えるでしょう。それは、組織の風土が、継続学習を当然のものとするようになるからです。
成果に向けて一緒に働くとき、人は組織全体の成果水準を高めます。
さらに、自己啓発が、一人ひとりの人間だけでなく、彼らとともに動くあらゆる人間の目標水準をあげることになります。こうして、自己啓発が組織全体の人格形成につながっていきます。
しかし、ドラッカーのこの短い言葉には、さりげなく恐ろしい言葉が枕になっています。ドラッカーは、「成果をあげる者にとっては」と言い、「成果をあげたくない者」のことは脇に置いています。このような成果をあげたくない者、または、成果を上げることができない者にとっても、果たして、自己啓発は人格形成につながるのかと問われれば、おそらくつながるのでしょうか。あらゆる自己啓発は、人格形成につながるはずだと私は信じていますが。
何れにしても、人が組織を育て、組織が人を育てる。そのようにして、組織は社会にとっての道具、個人にとっての道具としての役割を果たします。決して、優秀な人が優秀な人を育てるわけでもなく、また、優秀な人材を採用するから組織が優秀になるわけでもありません。人も組織も、相互に影響を与え合う存在です。人が組織の下位に位置しているという幻想に惑わされてはいけません。
ドラッカーの言葉を引用すれば、
「組織は、優秀な人を手に入れるから成果をあげるのではない。組織は、文化と風土によって自己啓発を動機づけるから優秀な人を育てる。しかも、かかる組織の文化と風土は、一人ひとりの人間が、自ら成果をあげるべく、目的意識をもって体系的に、かつ焦点を絞って自己訓練に努めるからこそ生まれる」
のです。
澤柳 匠