こんにちは、カンボジア駐在員の澤柳です。
前回は、地方に工場を設立する利点をお話ししました。
1つ目は安定的な人材供給、2つ目は低コスト、3つ目は先駆者利益です。
今回はこの3つの利点と、それとは反対に注意すべきポイントについてお話し致します。
まず、1つ目の「安定的な人材供給」です。
カンボジアの労務問題として、クオリティと定着率の問題があります。
カンボジアの賃金水準はベトナムと比べ約3分の2程度ですが、単価が安いということはそれだけクオリティも低いということです。つまり、例えカンボジアであっても安い賃金で即戦力になる人材を手に入れることはできません。また、プノンペンには多くの仕事があるため、若者は簡単に転職してしまう傾向があります。
しかし、地方は全く環境が異なります。地方はまだまだ農業で生活している人が多く、生活のために農業以外の仕事を必要としています。家族のために仕事に誠実に取り組み、転職などほとんど考えません。つまり、地方に工場を建設すれば現地の労働力を簡単に囲い込むことができ、さらに現地の学校と信頼関係を築くことによってある程度知識・教養のあるカンボジア人までも囲い込むことが可能です。現地の人々にとっても、定期的な収入を得られる仕事が地元にあることは非常に幸せなことです。
次に、2つ目の「低コスト」です。
プノンペンには、先ほども言及しましたが、簡単に転職できるほどの多くの仕事があります。そのため、どうしても地方に比べて賃金も割高になってしまい、多くの企業が固定費を押さえるのに苦労しています。しかし、地方であれば賃金は60USD/月で十分に働いてくれます。これは低賃金で厳しい環境で働かせるという意味では全くなく、実際に彼らが現地で生活する上ではそれで十分なのです。
そして3つ目は「先駆者利益」です。
地方のインフラはまだまだ整っておらず、地方に工場をもつ企業がとても少ないのが現状です。しかし、この現状を逆に考えると、カンボジアのほとんどの地方はブルーオーシャン状態となっています。つまり、どの企業よりも先に工場を建てることによって、様々な先駆者利益を得ることが出来ます。もちろん、インフラが全くない地方に行ってもコストがかかるだけなので、地方工場を選ばれる際には慎重な調査が必要です。
最後に、地方に工場を建設する際に注意すべき点です。
地方に工場を建設する際、必ず直面する問題が「トップとのコミュニケーション」です。
都市部から離れるほど、ビジネスを行う際に現地の人とのコミュニケーションが必要となり、政府関係者と直接関わることも増えてきます。外国企業が地元に来たとなれば、現地の人たちはお金目当てに様々なアプローチをかけてくるでしょう。
そこで重要なのが現地のトップを押さえるということです。
トップを押さえれば必ず下も押さえることができます。特に政府関係者、警察、村長などと良好な関係を築くことが重要になります。
しかし、面倒なアプローチは全くなくなる訳ではありませんが、カンボジアでビジネスを行う上で避けて通ることのできない道であるため、うまくつき合うための手数料と考えておかなければいけません。
以上