
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループカンボジア拠点の松木 祐里香です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「カンボジアでの会社設立」についてお話していこうと思います。
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目次
カンボジア会社設立で知っておくべき3つの結論
カンボジアへの進出を検討している経営者・海外事業責任者の方へ、まず結論からお伝えします。
第一に、カンボジア会社設立(法人設立)は外国人・外国企業による100%出資が認められており、日系企業に最も採用されているのは「非公開有限責任会社(Private Limited Company)」です。手続きは商業省登記に始まり、税務登録・労働省登録と複数の官庁にまたがり、全工程で3〜5ヶ月程度を要します。
第二に、費用の総額は設立登記費用・税務登録費用・各種ライセンス費用・代行報酬を含め、目安として40〜80万円程度(規模や業種により変動)が一般的な水準です。
第三に、申請書類のほぼすべてがクメール語での記載を要求される点、担当者によって解釈が異なる運用実態、そして複数省庁への対応の煩雑さから、実務上はほぼ100%の日系企業がコンサルタントや会計事務所による「カンボジア会社設立代行」を利用しています。
カンボジア会社設立の全体像
進出形態の選択:現地法人・支店・駐在員事務所の違い
カンボジアで事業活動を行うための進出形態は、大きく「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の3種類があります。それぞれの特徴を以下の表で整理します。
| 形態 | 位置付け | 実効税率 | 主な特徴 |
| 現地法人(非公開有限責任会社) | 国内法人 | 20% | 外国人禁止行為以外すべて可能。QIP適用可。日系企業に最も多い |
| 支店 | 外国法人 | 20% | 物品販売・サービス提供・製造・建設が可能。本店と同一法人。QIP不可 |
| 駐在員事務所 | 外国法人 | 非課税(給与税等は発生) | 市場調査・情報収集のみ。営業活動は不可。QIP不可 |
日系企業がカンボジア会社設立を行う際には、柔軟な事業展開と適格投資プロジェクト(QIP)優遇制度の活用が可能な非公開有限責任会社による参入が圧倒的多数を占めています。
カンボジア法人設立の手続きフロー
カンボジア現地法人(非公開会社)の設立は、大きく「日本側の手続き」と「カンボジア側の手続き」に分かれます。標準的なフローは以下のとおりです。
| ステップ | 作業内容 | 所要期間 | 提出先 |
| 1 | 現地法人情報の決定(株主・取締役・資本金・登記住所・事業目的) | 約1週間 | — |
| 2 | 必要書類の準備・作成(日本側) | 約1週間 | — |
| 3 | 商号の予約 | 約1週間 | 商業省登記局 |
| 4 | 銀行口座開設・資本金の払込 | 約1日〜1週間 | 商業銀行 |
| 5 | 会社登記の申請・登記証明書取得・社印作成 | 約1ヶ月 | 商業省登記局 |
| 6 | 税務登録・納税者番号取得(パテント・VAT含む) | 約1〜2ヶ月 | 税務署 |
| 7 | 労働省への法人登録・従業員登録・NSSF加入 | 約1ヶ月 | 労働省 |
全工程の合計期間は約3〜5ヶ月が標準です。ただし、祝日・政治状況・担当者の変更などカンボジア特有の事情により、大幅に延長するケースも珍しくありません。実際に商業省での手続きだけで3ヶ月以上かかった事例も報告されており、余裕を持ったスケジュールが不可欠です。
カンボジア会社設立代行を利用すべき理由
自力で手続きを行う場合のリスクと落とし穴
カンボジア会社設立を自力で進める場合、以下のような深刻なリスクが生じます。実際に現地での実務経験がない企業が自力で進めて失敗した事例は少なくありません。
①クメール語対応の壁
定款・申請書類はすべてクメール語での作成が基本です。英語版も一部認められますが、「クメール名を上位に大きな文字で配置する」など細かい規則があり、不備があれば申請は受理されません。また、労働省への申請書類もクメール語での記載が必須であり、翻訳ミスが後のコンプライアンス問題に発展するリスクがあります。
②担当者によって異なる解釈・運用
カンボジアでは、同じ法律であっても担当官によって書類要件や払込資本金額の解釈が異なることが多々あります。定款のサンプルも商業省から提供されますが「担当者によって内容が異なる」「会社にとって不利な内容が含まれる」ことがあるため、専門家によるレビューが必須です。
③税務登録遅延による罰則リスク
商業登記完了から15日以内に税務当局での税務登録を完了させなければなりません。この期限を過ぎると罰則が発生するリスクがあります。また、代表者が税務当局に直接出頭して顔写真・指紋登録を行う必要があり、海外在住の場合は別途委任手続きが必要です。このような手続きを初めて行う場合、書類不備による再提出や窓口での待機で期限を超えてしまうケースが実際に発生しています。
④外国人雇用規制の見落とし
外国人雇用はカンボジア人従業員数の10%以下が原則です(内訳:オフィススタッフ3%、専門知識を有する従業員6%、通常従業員1%)。この規制を知らずに外国人スタッフを採用し、後から労働省との交渉が必要になった事例があります。ワークパーミット(労働許可証)の取得には通常15日以上かかり、申請集中期(毎年3月頃)には数ヶ月待ちとなるケースも報告されています。
⑤登記住所に関するトラブル
アパートやマンションの一室を登記住所とすることは制度上可能ですが、商業省・税務当局での登録を拒否されるケースが稀に発生します。また、住宅を登記住所にするとオーナー側に源泉徴収税が発生し、賃料増額を求められることもあります。こうした実務上の落とし穴は、現地に精通した代行業者でなければ回避が困難です。
カンボジア会社設立代行を利用するメリット
上記のリスクを踏まえ、代行サービスを利用することで以下のメリットが得られます。
● クメール語対応・翻訳業務をすべて専門家が担当
● 各省庁の最新運用実態に即した書類作成で不備を防止
● 税務登録・労働省登録の期限管理を代行
● 定款内容のリビューで不利な条項を事前に排除
● 外国人雇用規制・ワークパーミット手続きの適切な対応
● 設立後の月次税務申告・記帳代行まで一貫サポートが可能
カンボジア会社設立代行の費用相場と内訳
カンボジア会社設立にかかる費用は、「官公庁への法定費用」と「代行業者への報酬」に分けられます。以下に代表的な費用項目を整理します。
| 費用項目 | 法定費用(目安) | 代行費用(目安) | 備考 |
| 商号予約費用 | 約10 USD | — | 商業省オンライン手続き |
| 会社登記費用 | 約420 USD | — | 商業省登記局 |
| 税務登録・パテント税(初年度) | 約350〜500 USD | — | 規模により異なる |
| 印紙税 | 約250 USD | — | 税務当局 |
| 労働省登録費用 | 数万円相当 | — | 従業員数等による |
| 設立代行報酬(基本) | — | 15〜40万円程度 | 業者・内容により大きく異なる |
| 定款作成・翻訳費用 | — | 含む場合が多い | — |
| 月次会計・記帳代行 | — | 3〜10万円/月 | 規模・取引量による |
| QIP申請サポート | — | 別途見積 | 優遇投資案件の場合 |
設立時の合計費用(法定費用+基本代行報酬)は40〜80万円程度が目安ですが、業種・業態・QIP申請の有無によって大きく変動します。複数の代行業者から見積もりを取得し、サービス内容(税務登録の範囲、労働省登録の対応可否、アフターサポートの有無)を比較することをお勧めします。
カンボジア法人設立の具体的手続き詳細
日本側の準備事項
設立前に以下の事項を確定させる必要があります。
● 株主・取締役の決定(取締役は非公開会社で1名以上。国籍・居住地の制限なし)
● 会社の事業目的の決定(定款に記載する主たる活動)
● 授権資本金・払込資本金の設定(最低400万リエル≒約1,000USD〜)
● 登記住所の決定(住宅可だが、商業用オフィスを推奨)
● 会社名の決定(クメール語表記必須。英語名を使う場合、同音のクメール名を上側に大きく配置)
日本側で準備が必要な書類は以下のとおりです(代行業者に送付)。
● 親会社定款(日本語・英語)
● 親会社登記簿謄本(日本語・英語)—取得から3ヶ月以内のもの
● 親会社代表取締役・現地法人代表取締役のパスポートの写し(青インクで直筆署名・拇印必須)
● 設立委任状・公証認証委任状・宣誓書
● 現地法人代表者任命状(取締役会議事録)
これらの書類は公証役場・カンボジア大使館での公証・認証が必要です。認証なしでは現地での申請が受理されません。
カンボジア側の手続き詳細
①商号の予約(商業省オンラインシステム)
商業省のオンラインシステム(www.businessregistration.moc.gov.kh)で商号のクメール語・英語表記を登録し、予約費用(商号1つあたり約10USD+銀行手数料)をオンライン支払いします。承認から3ヶ月間予約有効です。
②銀行口座開設・資本金の払込
カンボジア会社法では設立前に資本金の払込完了が必要ですが、設立前に法人名義口座を開設できないため、実務上は取締役名義口座または代行業者の口座に一時払込みを行い、銀行残高証明書を取得します。最近では法人の仮口座開設に対応する銀行も増えています。
③会社登記の申請・商業登記証明書の取得
商業省オンラインシステムで会社情報(株主・取締役・住所・事業目的等)を入力し、必要書類をアップロードして申請します。登記費用は約420USD(168万リエル)で、承認後に商業登記証明書がメールで送付されます。申請から取得まで通常約1ヶ月ですが、実際には2〜3ヶ月かかるケースもあります。
④税務登録(商業登記完了から15日以内に必須)
税務局にて税務登録・パテント登録・VAT登録を行います。代表者が税務当局に直接出頭して顔写真撮影・指紋登録を行う必要があります(海外在住の場合は他の取締役への委任が可能)。新規登録時の納付は約40万リエル(100USD)+印紙税100万リエル(250USD)+ステッカー費用。税務登録証明書・パテント証明書・VAT登録証明書が発行されます。
⑤労働省への事業所開設申請
税務登録完了後、労働省に対して事業所開設申告を行います(労働法17条1項)。申請書類はすべてクメール語での記載が必須です。申請手続きは3種類あり、事業所開設申告(従業員登録含む)・会社台帳登録・従業員給与台帳登録を行います。通常1〜2ヶ月程度を要します。
設立後に失敗しないための重要ポイント
税務コンプライアンスの徹底
カンボジアでは2016年の税制改革以降、申告納税方式に一元化されました。法人は小規模・中規模・大規模納税者に分類され、月次・年次での税務申告義務があります。
● 月次申告:法人税(前払い)・源泉徴収税・VAT・給与税等
● 年次申告:法人税確定申告
● 記帳義務:正確な会計記帳に基づく申告が義務付けられています
設立初期に月次申告を怠ると、税務調査時にペナルティが発生します。設立後はできるだけ早期に月次会計・記帳体制を整えることが重要です。
パテント証明書の毎年更新
パテント証明書は毎年更新が必要です。更新費用は納税者の規模により異なります(小規模:約100USD、中規模:約300USD、大規模:約750〜1,250USD)。更新を怠ると事業継続に支障をきたす可能性があります。
ワークパーミットと外国人雇用管理
外国人従業員を採用する場合、FWCMSシステム(www.fwcms.mlvt.gov.kh)で従業員割当申請(Quota)を行い、その後ワークパーミット・雇用カードを取得します。費用は1人あたり約270USD/年(各証書・健康診断・申請費用含む)が目安です。申請集中期の3月頃は取得まで数ヶ月かかることがあるため、採用計画に余裕を持たせてください。
NSSF(国家社会保険基金)への加入
1名以上の従業員を雇用する場合、NSSFへの登録が義務付けられており、登録後30日以内に保険料を納付する必要があります。保険料の詳細は業種・従業員数等により異なります。未加入・未納付は行政処分の対象となるため、設立と同時に対応が必要です。
税務調査リスクへの備え
カンボジアでは解散・閉鎖の際に必ず税務調査が実施されます。また通常営業中にも税務当局が抜き打ちで現地調査を行うことがあります。記帳の不備・月次申告の遅延が積み重なると、閉鎖時に高額のペナルティが課される事例が報告されています。設立当初から専門家による月次会計・税務サポートを活用することを強くお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q1. カンボジア法人設立の最低資本金はいくらですか?
会社法上の最低払込資本金は400万リエル(約1,000USD)です。ただし商業省担当者によって見解が異なる場合があるため、申請時に確認することをお勧めします。実務上、日系企業の多くはより高い金額を設定しているケースが多いです。
Q2. カンボジア会社設立の費用の総額はどのくらいですか?
官公庁への法定費用(登記・税務登録・パテント・印紙税等)だけでおよそ1,000〜1,500USD程度が発生します。これに設立代行報酬(15〜40万円程度)を加えた総額は40〜80万円が目安です。業種・規模・QIPの有無によって変動します。
Q3. 日本人だけでカンボジアに会社を設立できますか?
はい。カンボジアは外国人・外国企業による100%出資での有限責任会社設立が認められています(会社法283条)。株主・取締役ともに国籍・居住地の制限はありません。ただし外国人が51%以上出資する場合は「外国法人子会社」として扱われ、外国人に禁止されている業種(診療所の代表者がカンボジア国籍必須など)には制限があります。
Q4. カンボジア会社設立の期間はどのくらいかかりますか?
標準的な手続き期間は3〜5ヶ月です(商業省登記:1〜3ヶ月、税務登録:1〜2ヶ月、労働省登録:1〜2ヶ月)。カンボジアでは政治状況・祝日・担当者変更などにより通常より大幅に延長するケースもあるため、事業開始予定の6ヶ月前には手続きを開始することをお勧めします。
Q5. カンボジア法人設立後の税金はどうなりますか?
法人税率は20%(現地法人・支店ともに同率)です。このほか、VAT(付加価値税)は10%、源泉徴収税(配当・ロイヤリティ等)、給与税(従業員給与への課税)などが発生します。QIPの認定を受けた場合には、法人税免除期間(最大9年)等の優遇措置が適用されます。
Q6. 現地法人と支店、どちらがよいですか?
日系企業の大多数は現地法人(非公開有限責任会社)を選択しています。現地法人は親会社と別法人のため債務リスクが分離されること、QIP優遇制度を活用できること、事業の自由度が高いことが主な理由です。支店は本店と同一法人のため資金移動の自由度は高いですが、カンボジアでの債務が本店に直接帰属するリスクがあります。
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