皆さん、こんにちは!東京コンサルティングファーム タイ拠点の霜田 晋です。

タイとカンボジアの国境では、壁の建設が進んでいます。停戦合意から1年以上が経ちましたが、状況は膠着したままです。本記事では、国境の現状と日系企業の対応、サプライチェーンとBCPの見直しの視点を整理します。

タイ・カンボジア国境の壁建設の現状とは?

タイ東部チャンタブリ県で、国境の壁の建設が進められています。

  • 高さ:約3.6メートル
  • 構造:鉄筋コンクリートに鋼鉄メッシュと有刺鉄線を組み合わせたもの
  • 進捗:2026年6月時点で約45%が完成
  • 完成予定:2027年半ば

「停戦」の実態を見ると

2025年7月に停戦が合意されましたが、その後も膠着状態が続いています。国境付近から避難した住民2万人超がいまだ帰還できておらず、国境地域の正常化には至っていません。陸路の往来や通関の見通しも不透明で、物流面では引き続きリスクが意識されています。

進出企業の対応事例

こうした状況を受け、日系企業の間では輸送ルートや拠点配置を見直す動きが出ています。

  • 矢崎総業・ニッパツ・豊田通商:陸路輸送から海路・空路へ切り替え
  • 矢崎総業:カンボジア国内に第2拠点を新設

特定のルートに依存しない体制づくりが、実際の経営判断として進んでいることが分かります。

実務ポイント:外務省渡航情報とBCPへの示唆

外務省の渡航情報(2026年7月2日時点)では、国境から30km圏内がレベル3(渡航はやめてください)、30〜50km圏がレベル2(不要不急の渡航は止めてください)とされています。

  • 輸送ルートの複線化(陸路・海路・空路の併用)
  • 在庫水準や代替調達先の見直し
  • 国境付近に拠点や取引先がある場合の従業員の安全確保策
  • 渡航情報の定期的な確認と社内ルール化

まとめ

国境の壁は2027年半ばまで建設が続く見込みで、停戦後も状況は流動的です。陸路依存のサプライチェーンを点検し、複数の輸送手段や拠点を組み合わせたBCPを整えておくことが、今後の事業継続の鍵となります。

よくある質問(FAQ)

Q1.国境は現在完全に閉鎖されていますか?

通行の可否や条件は状況により変わるため、輸送の実施前に最新の情報を確認することが必要です。

Q2.海路・空路への切り替えでコストはどうなりますか?

一般に輸送費やリードタイムが変わるため、製品の特性や納期に応じて陸路との併用も含めて比較検討することをおすすめします。

Q3.渡航情報はどこで確認できますか?

外務省海外安全ホームページで確認できます。危険情報は更新されるため、定期的な確認をおすすめします。

出典

  • 時事通信「タイ、カンボジア国境に壁=昨年に軍事衝突、8キロ超整備へ」(2026年9月22日)
  • 朝日新聞(Yahoo!ニュース配信)「タイ、カンボジア国境に壁を建設 昨年は軍事衝突、密入国防ぐ狙いも」(2026年7月22日)
  • 日本経済新聞「タイ・カンボジア国境閉鎖で供給網滞る 矢崎やニッパツ、海・空路検討」(2025年6月)
  • 日本経済新聞「ニッパツなど操業停止 カンボジア西部・ポイペト」(2025年12月12日付朝刊)
  • NNA ASIA「矢崎、カンボジアに第2拠点 国境封鎖1年、タイ依存の脱却も」(2026年6月)
  • 外務省 海外安全ホームページ「カンボジアの危険情報」(2026年7月2日更新分)
  • 外務省 外務大臣談話「カンボジア王国・タイ王国間の停戦メカニズムへの合意」(2025年8月8日)

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