皆さん、こんにちは!東京コンサルティングファーム カンボジア拠点の霜田 晋です。

2026年6月、カンボジアのスン・チャントール副首相が来日し、東京・大阪で投資ロードショーを開催しました。「チャイナ・プラス・ワン」の有力候補として日本企業への期待も語られていますが、実際の投資統計を見てみると、少し違う数字が見えてきます。

官民で盛り上がる日本・カンボジア関係

2025年5月30日、日・カンボジア首脳会談(石破首相・フン・マネット首相)で「経済共創パッケージ」が発出されました。

2026年1月には、日本企業の進出を支援する「ビジネス共創チーム(BCT)」が始動しています。

2026年6月9日と12日には、東京・大阪で投資ロードショーが開催され、副首相自ら製造業・物流インフラ・農業食品加工・ヘルスケアの4分野をアピールしました。

背景には、2025年のカンボジアへのFDI総額が99.6億ドルと、前年比45%増という勢いがあります。

しかし、投資認可統計を見ると

カンボジア開発評議会(CDC)の集計によると、2026年上半期(1〜6月)に投資認可された事業は276件、金額にして47億ドル。これは前年同期比で19%の減少です。国別のシェアを見ると、カンボジア国内投資家が41.7%で最も多く、中国が35.7%、シンガポールが15.4%と続きます。そして日本は1.0%で、国別9位にとどまっています。商業省の報道官は、RCEPや中国・韓国・UAEとのFTAがFDI流入を後押ししていると説明しており、少なくともこの数字の説明の中に、日本との枠組みは登場していません。

このギャップをどう見るか

官民の掛け声と統計の間にギャップがあること自体は、必ずしも悪いニュースではありません。BCTの始動が2026年1月、投資ロードショーが6月と、日本側の後押し体制が本格的に動き出したのはごく最近のことです。投資の意思決定から統計上の「認可」計上までには通常数か月から1年程度のタイムラグがあるとされ、今回の1.0%という数字は、いわば「仕込み期間」の実績とも言えます。一方で、投資額の3分の1超を中国が占める構造が続いているのも事実であり、サプライチェーンの多角化を掲げる日本企業にとっては、シェアが小さい今だからこそ交渉力を発揮しやすい局面という見方もできそうです。

まとめ

「投資ロードショーで盛り上がっている」というニュースだけを見て市況を判断するのは早計です。次回以降に発表される投資認可統計で、日本のシェアがどう変化していくかを継続的に追うことが、実際の商機を見極める手がかりになりそうです。

出典

  • 国際機関日本アセアンセンター プレスリリース「カンボジア副首相が来日、日本企業との投資対話へ『カンボジア・投資ロードショー・イン・ジャパン2026』」(2026年6月1日)
  • 外務省「日・カンボジア首脳会談」(2025年5月30日)
  • 亜州ビジネス/クメールタイムズ「カンボジアの投資認可額、上半期は19%減47億ドル」(2026年7月15日・16日)

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霜田 晋