皆さん、こんにちは!東京コンサルティングファーム カンボジア拠点の高土 歩夢です。

「募集をかけても応募が来ない」「採用してもすぐ辞める」——カンボジア進出企業から最も多いご相談です。

原因は採用の努力不足ではなく、日本の採用手法をそのまま持ち込んでいることにあります。現地市場の構造を踏まえた3つのポイントを整理します。

なぜ日本流の採用が機能しないのか

カンボジアの労働市場には3つの構造的特徴があります。

  • 若年層に偏った人口構成:中間管理職世代の層が薄く、経験10年以上のマネージャーは母集団としてほぼ存在しません。
  • 転職が前提の労働観:長期勤続を美徳とする価値観は薄く、1〜2年での転職が合理的行動とされます。
  • 媒体より強い紹介ネットワーク:優秀層は在職しながら知人経由で次を決めるため、求人サイトには現れません。

これらより、カンボジアでは完成した人材を探すのではなく、伸びる人材を採り、辞めない仕組みで定着させることが合理的だと考えることができます。

ポイント1:採用要件を「経験」から「素養」へ

即戦力の管理職を探し続けても母集団が存在せず、採用の長期化が事業機会の損失を生みます。育成可能な素養で選抜し、管理職は社内で育てるほうが合理的です。

①語学要件を行動レベルで定義する

「英語ができる人」ではなく「顧客メールを自力で書ける」と定義します。日本語人材は市場が薄く給与も高騰しているため、日本語必須は1〜2名に絞るのが現実的です。

②選考に実技を入れる

申告と実力の乖離が大きい市場です。30〜60分の簡易課題で選考精度を改善させます。

ポイント2:採用チャネルを「紹介」中心に

優秀層は求人媒体に現れません。既存社員の人脈が最良の母集団です。

社員紹介を制度化する

インセンティブは入社時に半額、試用期間終了後に残額という分割払いが有効です。紹介者が定着に関与する動機が生まれます。

大学との接点をつくる

インターン受け入れは、母集団形成と実力の事前確認を同時に果たします。

ポイント3:「採ったら辞めない」定着設計

採用力の実質は「採用数 ÷ 離職数」です。定着施策は採用施策の一部として設計してください。

  • 昇進の階段を可視化:転職動機は給与だけでなく「先が見えないこと」。役職段階と給与レンジの明文化が有効です。
  • 入社後90日を設計:初日の受け入れ準備、月次面談、明確な担当業務の付与を標準化するだけで初期離職は大きく減ります。
  • 金額以外で差別化:給与競争は資本力勝負になります。研修機会や資格取得支援は若年層に強く訴求します。
  • 直属の上司を慎重に選ぶ:離職理由の大半は上司との関係です。駐在員のマネジメント適性が事実上の採用力になります。

まとめ

カンボジアでの採用は、「優秀な人材がいない市場」ではありません。日本と同じ探し方をしているために、見つからない市場です。

経験ではなく素養で選び、媒体ではなく人のつながりで出会い、採用した後の90日で定着させる。この3つを整えるだけで、採用の景色は大きく変わります。

そして忘れてはならないのは、採用は「入口」に過ぎないということです。良い人材を迎え入れる力と、その人が働き続けたいと思える環境をつくる力は、常に一体です。採用がうまくいっている企業は、例外なく「辞めない会社」でもあります。

まずは自社の募集要項を一度読み返してみてください。そこに書かれた条件で、この市場に本当に人が存在するか。見直しの第一歩は、そこから始まります。

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カンボジアでの採用設計や人材の定着施策についてのご相談を承っております。自社の募集要項の見直しからでも構いません。お気軽にご相談ください。

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