環境保護事業について

こんにちは。東京コンサルティングファーム ブラジル駐在員の金内です。
今週はブラジル投資環境について記載いたします。

ブラジルは、BRICSの一角を担う経済大国です。しかし、世界第7位のGDP総額で世界有数の経済力を有する一方で、所得格差が世界で最も大きい国の一つです。そのため、現ルセフ大統領のもと、経済の安定的な成長を確保するとともに、「飢餓撲滅計画」の推進が当面の課題として注力されています。もう一点、世界から動向が注目されている分野があります。それが環境保護分野です。

現在ブラジルでは、近年の経済発展に伴い廃棄物の排出量が大幅に増加しています。JICA(国際協力機構)の統計では、全国の固形廃棄物発生量は、2000年の1日あたり14万9千トンから、2008年には1日あたり18万3千トンへと2割超の増加を報告しています。また、増加し続ける廃棄物については、ほぼ全量(97.5%)埋立処分(衛生埋立、管理埋立、オープンダンピング)、それ以外の処理はリサイクルが1.4%、コンポストが0.8%、焼却が0.03%としています。急速な経済成長と、現在までにブラジルが抱えてきた検討事項に注力するあまり、環境保護対策に遅れが出ている実態が如実に表れています。

この点を改善すべく、JICA主導でのODA関連事業として電気・電子製品廃棄物(E-Waste)のリサイクル事業が注目され、高いリサイクル技術をもつ日本企業が廃棄物関連施設や当該サービス市場への進出を検討しています。

世界的に物価水準が高く、関税やその他税制の観点からも外国の製造業企業が進出するには少々ハードルの高いブラジルですが、サービス業や環境保護、リサイクルの分野では技術の遅れが如実であり、国や企業からもニーズの高い分野として、まだまだ外資参入の余地があります。今後ブラジルの北部、中部への開発が期待されており、開発に伴う環境破壊や産業廃棄物の処理問題が加速すると考えられることからも、ブラジル進出を検討する同産業企業にとって、魅力的な投資国となる可能性が高いといえます。

既に既存の進出企業においても環境問題への関心は高く、自動車メーカーHONDAによる風力発電への投資は大きな注目を集めています。同社は四輪車生産に必要な年間電力量を再生可能エネルギーで創出する試みを積極的に進めてくと発表しています。今後も環境保護事業への注目は高まりそうです。

以上

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