ブラジル従業員給与に対する納付率免税の中止に関して

こんにちは。
東京コンサルティングファームブラジルの濱咲克心です。
今週はブラジル従業員給与に対する納付率免税の中止に関して記載します。

2018年5月、官報(Diário Oficial da União)によって公表された法令(LEI 13,670/2018)において、ブラジル政府は2018年9月から、従業員給与に対する納付率免税の中止を決定いたしました。こちらは2011年から、ある業種に限りに優遇されていたインセンティブが存在していましたが、今回の法令により、今まで優遇されていた39業種の法人は、このインセンティブを適用できなくなり、それはすなわち、ブラジル政府は社会保険料(INSS)の雇用主負担分を通常通り、徴収することになったということを意味しています。

この背景には、昨年5月のトラック運転手が行った11日間にも及ぶストライキが影響しています。ストライキの参加者はディーゼル燃料の値下げを目的とし、ブラジル全土の道路を封鎖しました。しかしながら、このストライキの影響、被害は甚大であったため、ブラジル政府は早期解決を試み、ディーゼル燃料に対する税率を0%に引き下げました。しかしながら、これによって税収の低下が見込まれた為、これに対する補填として進められた施策の一つとして、この従業員給与に対する納付率免税の中止が行われたということです。

以前適用されていたインセンティブに関して補足いたしますと、この従業員給与の納付率に違いを持たせたのは、2011年、前大統領であるDilma政権時に始まり、雇用促進と、大企業・中規模企業に対する競争力の向上を目的としており、このインセンティブは、20%の従業員給与に対する社会保険料を、各企業の売上高に応じ、1%から4.5%へ軽減することができるという内容でした。

今回の法令により、従業員に関連する企業支出が増えることにより、ブラジル市場全体の競争力が低下する恐れがあり、多くの経営者は、税務ポリシーを遵守するために、効率的に経営していくことができなければ、今回の決定、政府からの強制に苦しめられることになると考えられます。

 

 

以上

濱咲克心

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