労働法改正:労働組合制度が大幅変更

皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループバングラデシュ拠点の塚田 涼太です!

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。

さて、今回は「労働法改正:労働組合制度が大幅変更」についてお話していこうと思います。

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【労働法改正:労働組合制度が大幅変更】

 本日は、2025年10月23日に首席顧問のムハンマド・ユヌス氏が議長を務める諮問委員会(Advisory Committee)で承認され、11月17日に公布・施行された「バングラデシュ労働法(改正)条例2025」について、特に 労働組合制度(Labour Union System) の変更点を中心に解説いたします。

 本改正は、労働組合制度の拡充、労働者保護の強化、社会保障制度の導入など、労働環境を大きく変える内容となっています。

 

  1. 改正の背景

 今回の改正の目的は以下のとおりです。

  • バングラデシュの労働基準を国際標準(ILO基準)に整合
  • 労働者と使用者双方の権利確保
  • 社会保障制度の強化
  • 労働紛争の迅速解決
  • 労働市場の健全化、産業競争力の維持

 

  1. 労働組合制度の主要改正点

① 労働組合設立に必要な人数の大幅変更

【従来】:全従業員の20%以上の同意

 ↓

【改正後】:組織規模に応じた固定人数制(20~400人)

組織規模(従業員数) 同意人数(Minimum Members)
20~300人 20人
301~500人 40人
501~1,500人 100人
1,501~3,000人 300人
3,001人以上 400人
  • 中小規模の工場において、組合設立が容易になりました。

 

② 1事業場での労働組合数:3→5に拡大

 1つの工場・事業所で最大5つの労働組合が登録可能となりました。

 複数組合が存在する場合、

  • 「団体交渉代理人(CBA:Collective Bargaining Agent)」を選挙で選出
  • 労使協議はCBAを通じて行う
  • 組合間の競合や、企業側の交渉・調整負担が増える可能性があります。

 

③ ブラックリスト登録の禁止(Prohibition of Blacklisting)

 企業が以下のような「ブラックリスト(Blacklisting)」を作成することが禁止されます。

  • 過去の解雇・懲戒歴を理由に再雇用を恒久的に拒否
  • 組合活動を理由とする雇用差別
  • 国際基準(ILO Convention 87 / 98)に沿う形で、労働者保護が強化されました。

 

④ 「労働者(Worker)」の定義の拡大

 労働者(Worker)の定義が拡大され、以下も対象に含まれます。

  • 家事労働者(Domestic Workers)

(フルタイム/パートタイム問わず)

 また、「Worker」の定義は次を含むと明確化:

 Manual, technical, commercial, or clerical work for wages, whether directly or through a contractor.

 (手作業、技術業務、商業業務、事務業務、直接雇用または請負・派遣による労働)

 

⑤ 積立基金(Provident Fund)の義務化

【従来】:任意制度

 ↓

【改正後】:従業員100名以上の事業所において、Provident Fund (積立基金)の設立が義務化

 

⑥ 国民年金制度(Universal Pension Scheme)への加入機会

 企業は以下の国家年金制度へ加入可能となります:

  • National Pension Authority の Universal Pension Scheme
  • 企業と労働者双方が50%ずつ拠出
  • 任意加入(加入しない労働者は既存制度を継続)

 

⑦ 労働災害補償基金(Workplace Accident Compensation Fund)の創設

 新制度:

  • 新たに、労働災害補償基金(Accident Compensation Fund)の設立を規定
  • 適用業種・運用方法は後日規則(Rules)にて制定
  • 労働災害被害者の保護強化が目的

 

⑧ 産休(Maternity Leave)の延長

【従来】:112日

 ↓

【改正後】:120日(60日前+60日後)

 

⑨ 労働紛争解決制度(Dispute Resolution System)の改革

 新たに「労働紛争ADR機関(Alternative Dispute Resolution Authority)」を創設

目的:

  • 労働裁判所(Labour Court)の未処理件数(backlog)を削減
  • 労使間の紛争を迅速・公正に解決
  • ILOの支援により運営

 ADR Authority は:

  • 集団紛争(Collective Disputes)
  • 個別紛争(Individual Disputes)

 の両方を取り扱い、裁判外での解決を促進。

 

 今回は「バングラデシュ労働法の改正」について解説しました。

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