
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループバングラデシュ拠点の塚田 涼太です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「労働法改正:労働組合制度が大幅変更」についてお話していこうと思います。
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目次
- 1 【労働法改正:労働組合制度が大幅変更】
- 2 改正の背景
- 2.1 ① 労働組合設立に必要な人数の大幅変更
- 2.2 ② 1事業場での労働組合数:3→5に拡大
- 2.3 ③ ブラックリスト登録の禁止(Prohibition of Blacklisting)
- 2.4 ④ 「労働者(Worker)」の定義の拡大
- 2.5 ⑤ 積立基金(Provident Fund)の義務化
- 2.6 ⑥ 国民年金制度(Universal Pension Scheme)への加入機会
- 2.7 ⑦ 労働災害補償基金(Workplace Accident Compensation Fund)の創設
- 2.8 ⑧ 産休(Maternity Leave)の延長
- 2.9 ⑨ 労働紛争解決制度(Dispute Resolution System)の改革
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【労働法改正:労働組合制度が大幅変更】
本日は、2025年10月23日に首席顧問のムハンマド・ユヌス氏が議長を務める諮問委員会(Advisory Committee)で承認され、11月17日に公布・施行された「バングラデシュ労働法(改正)条例2025」について、特に 労働組合制度(Labour Union System) の変更点を中心に解説いたします。
本改正は、労働組合制度の拡充、労働者保護の強化、社会保障制度の導入など、労働環境を大きく変える内容となっています。
-
改正の背景
今回の改正の目的は以下のとおりです。
- バングラデシュの労働基準を国際標準(ILO基準)に整合
- 労働者と使用者双方の権利確保
- 社会保障制度の強化
- 労働紛争の迅速解決
- 労働市場の健全化、産業競争力の維持
- 労働組合制度の主要改正点
① 労働組合設立に必要な人数の大幅変更
【従来】:全従業員の20%以上の同意
↓
【改正後】:組織規模に応じた固定人数制(20~400人)
| 組織規模(従業員数) | 同意人数(Minimum Members) |
| 20~300人 | 20人 |
| 301~500人 | 40人 |
| 501~1,500人 | 100人 |
| 1,501~3,000人 | 300人 |
| 3,001人以上 | 400人 |
- 中小規模の工場において、組合設立が容易になりました。
② 1事業場での労働組合数:3→5に拡大
1つの工場・事業所で最大5つの労働組合が登録可能となりました。
複数組合が存在する場合、
- 「団体交渉代理人(CBA:Collective Bargaining Agent)」を選挙で選出
- 労使協議はCBAを通じて行う
- 組合間の競合や、企業側の交渉・調整負担が増える可能性があります。
③ ブラックリスト登録の禁止(Prohibition of Blacklisting)
企業が以下のような「ブラックリスト(Blacklisting)」を作成することが禁止されます。
- 過去の解雇・懲戒歴を理由に再雇用を恒久的に拒否
- 組合活動を理由とする雇用差別
- 国際基準(ILO Convention 87 / 98)に沿う形で、労働者保護が強化されました。
④ 「労働者(Worker)」の定義の拡大
労働者(Worker)の定義が拡大され、以下も対象に含まれます。
- 家事労働者(Domestic Workers)
(フルタイム/パートタイム問わず)
また、「Worker」の定義は次を含むと明確化:
Manual, technical, commercial, or clerical work for wages, whether directly or through a contractor.
(手作業、技術業務、商業業務、事務業務、直接雇用または請負・派遣による労働)
⑤ 積立基金(Provident Fund)の義務化
【従来】:任意制度
↓
【改正後】:従業員100名以上の事業所において、Provident Fund (積立基金)の設立が義務化
⑥ 国民年金制度(Universal Pension Scheme)への加入機会
企業は以下の国家年金制度へ加入可能となります:
- National Pension Authority の Universal Pension Scheme
- 企業と労働者双方が50%ずつ拠出
- 任意加入(加入しない労働者は既存制度を継続)
⑦ 労働災害補償基金(Workplace Accident Compensation Fund)の創設
新制度:
- 新たに、労働災害補償基金(Accident Compensation Fund)の設立を規定
- 適用業種・運用方法は後日規則(Rules)にて制定
- 労働災害被害者の保護強化が目的
⑧ 産休(Maternity Leave)の延長
【従来】:112日
↓
【改正後】:120日(60日前+60日後)
⑨ 労働紛争解決制度(Dispute Resolution System)の改革
新たに「労働紛争ADR機関(Alternative Dispute Resolution Authority)」を創設
目的:
- 労働裁判所(Labour Court)の未処理件数(backlog)を削減
- 労使間の紛争を迅速・公正に解決
- ILOの支援により運営
ADR Authority は:
- 集団紛争(Collective Disputes)
- 個別紛争(Individual Disputes)
の両方を取り扱い、裁判外での解決を促進。
今回は「バングラデシュ労働法の改正」について解説しました。
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塚田 涼太(つかだ りょうた)
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