
皆さん、こんにちは!
東京コンサルティンググループバングラデシュ拠点の塚田 涼太です!
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
さて、今回は「非ボンド型製造業において、輸出向け原材料の無税輸入が可能に」についてお話していこうと思います。
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目次
【非ボンド型製造業において、輸出向け原材料の無税輸入が可能に】
本日は、バングラデシュ税務当局(NBR)が 2025 年 9月に発表した、非ボンド型(Non-bonded)製造業者が輸出向け原材料を無税で輸入できる新制度について解説します。
本制度は、これまで ボンドライセンス(Bond License)を保有していないと受けられなかった“無税輸入枠”を、非ボンド工場にも開放するという極めて重要な政策変更です。
この取り組みは、非ボンド型製造業の資金負担を軽減し、輸出の多様化を促進することを目的としたものです。近年、ボンドライセンスを取得していない中小・中堅製造業者が輸出需要に対応できないという課題が指摘されており、政府は当該制度により「ボンド制度に依存しない輸出拡大」を図っています。
制度の概要
このSRO(官報通達)に基づき、有効なIRC(輸出権; Import Registration Certificate)を保有し、VATコンプライアンスを維持している適格な製造業者は、以下の税金の即時納付なしに原材料を輸入することが可能となります。
- 関税(Customs Duty: CD)
- 規制税(Regulatory Duty: RD)
- 付加価値税(Value Added Tax: VAT)
- 前払税(Advance Tax: AT)
- 補足税(Supplementary Duty: SD)
これらの税金の代わりに、輸入者は課税額相当の銀行保証(Bank Guarantee)を提出する必要があります。
| 対象セクター (Schedule-1)
以下の産業が本制度の対象となります: ・食品加工業 ・衣料品製造業 ・鉄鋼製品 (Steel Products) ・電子機器 (Electronics) ・プラスチック製品 ・家具製造業 (Furniture) ・軽工業 (Light Engineering) ・皮革製品 (Leather Goods) |
対象外品目 (Schedule-2)
以下の原材料および製品は対象外とされています: ・MSロッド、バー、アングル、その他MS製品 ・すべての種類のセメント ・エアコン (Air Conditioners) ・塗料、潤滑油、燃料油 ・プレハブ建築物 ・事務機器および家具 ・パーティクルボードおよびすべての種類のケーブル |
主な条件(Key Conditions)
無税輸入制度を利用するためには、企業は以下の条件を満たす必要があります。
- 売買書類の整備(Purchase/Sales Documentation) - 有効な売買契約書、L/C、Advance TTのいずれかが必須。
- iVASシステムに登録されたリエンバンク(lien bank)による承認が必要。
- 銀行保証(Bank Guarantee)
- 該当するすべての税金および関税相当額の無条件かつ継続的な銀行保証(an unconditional and continuous bank guarantee)を提出すること。 - 最低付加価値率(Minimum Value Addition)
- 輸出製品において最低30%以上の付加価値を実現すること。 - VATおよびIRCの遵守(VAT & IRC Compliance)
- 輸入者はVAT登録済みの製造業者であり、有効な工業用IRC(Import Registration Certificate)を保有している必要がある。 - 記録の分別管理(Separate Record-Keeping)
- 国内販売用と輸出用の原材料を別々に輸入・保管すること。
- 記録は所定の書式(Appendix-2 / 3)に基づき作成し、税務当局から求められた際に提示できる状態で保管すること。VAT申告時に提出を求められる場合もある。 - 輸入前申告(Pre-import Declaration)
- 輸入前にMushak-4.3フォームを提出し、原材料の種類・数量・歩留(廃棄率)を記載すること。
期限(Timelines)
- 原材料輸入日から9か月以内に輸出を完了しなければならない。
- 正当な申請があった場合、税関長(Commissioner)が最大3か月の延長を認めることがある。
- 特殊な事情(例:輸出注文のキャンセルなど)の場合、NBRがさらに延長を認めることがある。
不遵守時の措置(Non-Compliance Consequences)
| 状況 | 当局の対応 |
| 期限内に輸出を完了しなかった場合 | 税関により銀行保証が現金化(没収)される。 |
| 輸出が一部または全く行われなかった場合 | 輸入者は関税局(Commissionerate)へ申請し、調整および再輸出の許可を得なければならない。 |
| 制度の不正利用や虚偽申告があった場合 | 当該企業の特典は取り消され、将来の適格性から除外(ブラックリスト登録)される。 |
結論(Conclusion)
この新制度は、非ボンド型の輸出志向産業に対し、資金繰りの改善や運営コストの削減をもたらす重要な支援策です。
ただし、報告義務・記録管理・輸出期限に関する要件を厳格に遵守することが、特典を維持するための前提条件となります。
本SROは、バングラデシュの非ボンド製造部門にとって重要な政策的進展を意味します。
政府は、VAT遵守および輸出実績の確認を条件に、無税での原材料輸入を可能にすることで、
産業の競争力強化、輸出の多様化、そして従来のボンド制度に依存しない製造業の発展を目指しています。
以上、ご不明点等ございましたら、お気軽にご連絡ください。
参照先
SRO No. 384-LAW/2025/106/Customs(2025年9月25日)発行https://nbr.gov.bd/uploads/sros/%E0%A6%97%E0%A7%87%E0%A6%9C%E0%A7%87%E0%A6%9F_%E0%A6%8F%E0%A6%A8%E0%A6%AC%E0%A6%BF%E0%A6%86%E0%A6%B0.pdf
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塚田 涼太(つかだ りょうた)
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