ベトナム残業代について

労務

皆さん、こんにちは。

ベトナム、ホーチミンの川村 拓己です。

 

Q: ベトナム人の残業代について教えてください。

 

A: ベトナム労働法(No.10/2012/QH13)第97条において、時間外労働、深夜労働の賃金について定めてられています。

以下、表にて時間外労働と深夜労働の割増率をご紹介いたします。

 

割増賃金

時間外労働は、最長でも1日の勤務時間の50%を超えることはできず、8時間労働の場合、1日4時間までとなります。また、月30時間以下、年200時間以下でなければなりません。政府が規定する特別な業務のみ、年300時間まで認められます。(106条)時間外労働をさせた場合は、会社は労働者に対して通常の賃金に加え割増賃金を支払わなければなりません。時間外労働の対価として、支払う割増賃金は下記の通りとなります。

【時間外労働の割増率】

時間外労働を行った日

割増率

通常の労働日

150%

週休日または祭日

200%

法廷祝日及び有給休暇中の労働

300%

 

 

また、深夜労働時間に労働を行った場合、深夜労働手当として通常の賃金の30%相当を通常の賃金に上乗せしてしはらわなければなりません(97条)

 

【深夜労働の割増率】

深夜時間

割増率

午後10時~翌日の午前6時

130%

 

 

深夜労働時間に時間外労働をした場合の割増賃金は次のように計算します。

 

【深夜労働時間の時間外労働の割増率】

夜間

平日

休日

祝日

深夜の時間外労働の割増率

195%

260%

390%

 

深夜時間外労働の割増率の計算は下記のようになります。

(例)平日4時間(20~24時)の時間外労働を行った場合

20~22時の2時間×通常の賃金×150%

22~24時の2時間×通常の賃金×150%×130%=195%

さらに次のような労働者は、労働法上残業または深夜の就業が禁じられています。

・妊娠7か月以上の女性労働者・満12歳未満の子の養育をしている女性労働者

・労働能力の51%以上を失った身体障害者

・未成年労働者

(ただし、労働傷病兵社会問題省の定める職業・職務を除く)

通達のNo. 111/2013/TT-BTCの規定によると、割り増し分の残業代については、個人所得税の対象外となります。つまり、個人所得税を支払う義務がありません。

そのため、給与計算シートを作成する場合については、この点を留意する必要があります。個人所得税を間違って計算しないようにしないといけません。

日本の「残業代によって所得が増え、個人所得税も増加する制度」と違い、個人をより保護した趣旨の規定となります。ただし、ベトナムは上記に記載した通り、年間の残業時間について厳しい定めがあります。基本給を予め低く設定し、残業にすることで、個人所得税の支払いを逃れるというスキームも可能性としては考えられるからです。

 

より詳しい内容に関しましては、弊社のWiki Investmentや「ベトナムの投資・M&A・会社法・会計税務・労務(久野康成)」を参照していただければと思います。

下記、Wiki InvestmentのURLになります。

http://www.wiki-investment.com/

 

 

東京コンサルティングファーム

ベトナム ホーチミン

川村 拓己

Mail: kawamura.hiroki@tokyoconsultinggroup.co

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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