ベトナムの投資Q&A 現地法人の法定代表者の設定

法務

こんにちは、ベトナム、ハノイ駐在員の浅野です。

 

Q, ベトナムの現地法人の設立を予定しています。現地法人の代表者は、日本法人の役員が日本居住のまま就任し、現地側の運営は、現地の駐在員が行う予定です。このスキームにおける問題点はありますでしょうか。

 

A, まず、現行法令上の会社代表者の制度についてご説明を致します。外国企業が出資する現地法人を設立する場合、設立を許可する書類として投資登録証明書及び企業登録証明書が発行されます。会社代表者は、法定代表者として企業登録証明書に記載されます。以前は、会社の法定代表者は、一名のみ登録が可能でしたが、発行2015年7月1日におけるベトナム社会主義共和国の法令68/2014/QH13番号の会社法により、複数名の法定代表者の設定が可能となりました。

 

ご質問を頂いたケースでは、上記を踏まえ、二通りの方法が考えられます。

 

一つ目は、日本法人の役員一名のみ現地法人の法定代表者となります。そして、法定代表者が30日以上ベトナムを離れる場合は、委任状を他の者に発行し、法定代表者としての権限を委譲しなければならないという会社法の規定があります。よって、役員は、日本居住のため、現地で運営を担当する者に委任状を発行することになり、現地で運営を担当する者は、当委任状をもとに、現地法人を運営します。

 

二つ目は、法定代表者を複数名設定する方法です。日本法人の役員及び現地で運営を行う者を法定代表者として設定します。現地で運営を行う者についても現地法人の法定代表者としての権限を有するため、委任状がなくても現地の運営を行うことができます。

 

上記二つの方法がありますが、当職は、後者の方法を推奨しています。理由は、一つ目の方法の場合、委任状の発行が必要となりますが、ベトナム当局関連の手続きが発生した場合、ベトナム国内で有効とされる統一されたフォーマットがないために、手続きを行う当局によっては、委任状の内容修正等を求められるケースが多く、非常に煩雑です。また、二つ目の方法の場合は、役員及び現地側で運営を行う者の両者を法定代表者とするために、権限の区分が問題となりえます。ただし、定款若しくは任命書・雇用契約書においてそれぞれの権限を区分、制限することが可能であるため、会社の方針により、現地側で運営を行う者の権限を一定まで制限し、特定の業務については、役員の承認が必要といった設定も可能です。なお、権限等の設定については、会社法の制限もありますので、この点も考慮する必要があります。

 

以上

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