こんにちは、ベトナム、ハノイ駐在員の浅野です。
Q, 海外子会社からの資金還流の方法について教えてください。
A, 海外子会社からの資金還流の方法について複数回にわたり回答していきます。第二回は、海外子会社に対して売上を計上することによる資金還流です。
海外子会社に対して売上を立て、その請求・回収による資金還流の方法があります。
一般的には、海外子会社に対してロイヤリティや経営(技術)指導料等の名目の売上を立てることが多いです。ロイヤリティとは、会社の保有する特許、商標、ノウハウ等を提供し、それらを他の会社が使用することの対価を受け取ることです。経営(技術)指導料は、日本法人(出資者)が海外子会社に対して経営(技術)指導を行い、その対価を受け取ることです。
特徴としては、海外子会社に利益が発生していなくも資金の回収ができる等、配当送金による資金還流と比較し満たさなければならない条件は少なくなります。
しかし、いくつかの税務上の留意点があります。ベトナムの海外子会社にとって、ロイヤリティや経営(技術)指導料の支払は、会社の費用となります。この費用を損金として計上する場合は、ロイヤリティや経営(技術)指導が実際に発生していて、会社の費用としての合理性を証明する証憑を十分に残しておく必要があります。証憑が十分ではない場合は、ベトナムの税務当局による税務調査の際に損金算入を否認される可能性があります。また、この取引に対して、日本法人(出資者)はベトナムの税制の一つである外国契約者税の申告納税義務者となることにも注意が必要です。また、日本法人(出資者)及び海外子会社との取引は関連当事者間の取引であり、日本及びベトナムの移転価格税制に対する対策を十分に行う必要があります。
以上