ベトナムの自動車産業について

皆さま、こんにちは。

東京コンサルティングファーム・ハノイ拠点の石川愛美です。

 

今回は、ベトナムの自動車産業について述べさせていただきます。

 

以下のグラフは、ASEAN各国の自動車生産・販売台数(2018年)となります。

 

ベトナムにおいて自動車産業は、年間約24万台が生産されています。年間220万台もの生産をしているタイに対して、これまでのベトナム自動車産業は60分の1程度という他のASEAN諸国と比べて非常に小さな産業規模でした。しかしながら、2018年においては9分の1にまで差が縮んでおり、産業が活発化しているということが見てとれます。

 

部品の自国調達率が低く、ほとんどの部品を輸入に頼っていることが特徴の1つです。しかし、一般にベトナムのように経済成長が続いている国では、1 人当たりのGDPが 3,000USドルを超えるあたりから、自動車販売台数が急激に伸びるとされていました。政府の成長戦略(2011 ~ 2020年)では、2020年までに、1 人当たりのGDPを3,000 ~ 3,200USドルとすることを目標として掲げており、今後のベトナム自動車マーケットの拡大が期待されています。

 

一方で、多くの課題があることも事実です。裾野産業が未発達なベトナムにとっては、AFTA発効による関税撤廃という大きな試練がありました。2018年には完成車の輸入関税(30%)の撤廃が完了しました。ベトナム国内の自動車マーケットの拡大やASEAN域内の自動車輸入関税の段階的な引き下げなどを引き金に、自動車産業に多大な影響を及ぼしているとも言えます。

 

輸入関税撤廃によってタイやインドネシアからの輸入車の方が国内生産車よりも競争力に勝る可能性が高いと予測されていましたが、実際のところ2017年のタイからベトナムへの自動車関連の輸出額は急激に減少しています。これは2018年の輸入関税撤廃を見越し、消費者間で買い控えの動きが広まったことが原因であると考えられています。

 

また、ハノイとホーチミンの二大都市でのインフラ整備の遅れを背景として、交通渋滞や環境悪化が深刻になっています。そのため、新車登録の制限や、特別消費税の自動車への課税強化などが行われており、自動車販売へのマイナスの影響が大きいといわれています。また、規制の変更がたびたび行われていることによる、外国企業の投資控えもあります。ベトナムの自動車産業は、この数年間で、国内マーケットが急速に拡大しつつも、熾烈な国際競争にさらされていると考えられます。外国企業にとって国内シェアを早期にどれだけ獲得できるかが問われる局面で、インフラ整備、法整備がどの程度進むのかといった、ベトナム政府の姿勢に大きく左右される重要な時期を迎えているといえるでしょう。

 

何かご不明な点、ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

 

よろしくお願いいたします。

 

東京コンサルティングファーム ハノイ拠点
石川愛美

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