こんにちは、ベトナムのハノイ駐在員の浅野です。
今回のブログでは、企業情報の開示制度のベトナムの状況についてについて紹介致します。
2000年7月20日にベトナムで初の証券取引所が設立され、取り引きが開始されています。これに伴い企業情報の開示に関する法整備も進められています。
まず、1998年に証券取引に関する議定書48/1998/ND-CPの発効を初めとして、2003年144/2003/ND-CPなど、いくつかの議定書、通達が発効され、証券取引の円滑化を図ってきましたが、いくつかの議定書との間で矛盾が生じるなど、運用上の問題が指摘されてきました。そこで、2006年にこれまでの議定書、通達を統合し、証券取引に関する最高法規として、証券法が制定されました。
しかし、情報開示などに関する規定が不十分であるなのどの問題があったため、2010年に情報開示の実務上の運用を定めた09/2010/TT-BTC、2010年の証券法改定とさらに法整備が進められています。
近年の制度の改正、議定書の発効のポイントは、投資家の保護、企業情報開示の充実、証券取引市場の組織・管理についての規定の制定、他国の証券市場と国内証券市場との市場の流通のため、証券会社・投資ファンド等の投資事業組合の活動と設立についての要件といった面で改善がされています。
しかし、開示制度の実務上の運用に関しては、日本などの先進諸国に比較し、運用が進んでいない印象を受けます。理由としては、現状でベトナムにおける上場企業数も200未満であり、適用される企業が少ないこと、証券市場の歴史が浅く、制度を整備している途中であるといったことが理由のようです。
最新の状況としては、2012年4月5日付52/100/TT-BTCという通達が発効されていますが、企業の実務上の運営が難しくなっているという問題が起きています。先の情報開示の実務上の運用を定めた09/2010/TT-BTCと比較し、変更点が多く、また、他のベトナムの法律にも見られるように法規定に不明瞭な部分も多いためとなっています。
証券取引委員会は、企業向けのセミナーを開催するなどして企業の運用を推進しています。また、同通達、以前の通達と比較しても情報開示に対する要求が厳しいため、より精緻な情報公開が進むものと期待されています。