みなさん、こんにちは。トルコ駐在員の田中です。
2020年のオリンピック開催地はどこになるのか? 近年、トルコで連想するものとしてオリンピック開催国の話題があります。2011年9月、2020年のオリンピック開催国としてアゼルバイジャン、カタール、スペイン、イタリア、日本、そしてトルコが立候補をし、1次選考の末に日本、スペイン、トルコが選出されました。トルコでは「イスラム圏初の開催」をかけ、国民の73%が支持し、他国から見ても有力候補として見られています。
今後、2013年3月IOCの専門的な調査団が3つの候補地を視察、最終的な開催地の決定は9月に実施されるIOC執行委員会の会議となるようです。そのため、トルコでの開催となるのか、はたまた日本での開催となるのか、トルコ在住の日本人としてもその一瞬は目が離せません。
さて、前置きが長くなりましたが今回のブログでは、オリンピック開催国の有力候補として一目置かれるトルコの基礎知識、魅力について改めてみていきたいと思います。
正式国名:トルコ共和国(Republic of Turkey)
面積:78万km2
国土は日本の約2倍の面積があり、世界36位の面積を保有している。トルコはアジア側に97%、ヨーロッパ側に3%を持ち、日系企業の多くが進出している旧首都イスタンブールはアジアとヨーロッパにまたがる世界唯一の都市である。都市を隔てるボスボラス海峡には2本の大橋が架かっているが、現在、大成建設がボスボラス海峡の海底160mにトンネルを作り鉄道を開通させる大プロジェクトを行っている。成すればイスタンブールの交通事情も大きく改善されることになるだろう。
人口:7,472万人
人口は世界ランキングで17位、ヨーロッパ圏と比べた際、ドイツよりは1,000万人程少ないが、仏、伊、英より多く、ポーランドの約2倍の人口がいる。
人口増加率は2010年の+1.6%に比べ少し鈍化した、2011年度も+約100万人の人口が増え、増加率は+1.36%と着々と人口が増えつつある。この数値は中国の年間増加率の約3倍、タイの約2倍で人口が増えていることを表している。2017年~2020年にはドイツの人口を抜き、2050年には1億人になり日本と並ぶ見込み(日本は人口が減少傾向にあるため)。
また、人口も上記のように着々と増えているが、トルコへの観光客数も同様に増えており、観光収入も期待できる。
人口構成:平均年齢29.7歳
人口構成としては15~30歳までの層が厚く、若い労働力が魅力である。一方で毎年80~100万人の労働者が新規に参入しているため、雇用機会の創出が追いつかず、失業率が9.3%となっており、逆に課題になる面もある。
トルコでの平均月収はUnskilled Laborerで約6万円~8万円、イスタンブールでは物価が高いため約10万円程である。2010年度の統計では、年収平均は日本:$35,474.10に対して、トルコ:$2,397.32と賃金労働の安さも魅力の一つだ。また、現在では中国との人件費に差がなくなりつつある。
トルコは親日国家として有名で、83.2%のトルコ人が日本との関係が友好的であると回答している。また、日本人と同様にトルコ人は勤勉かつ働き者で、労働時間も週45時間と他のヨーロッパ圏に比べても長い。そのため、トルコを製造拠点かつ貿易拠点と置いている企業も少なくない。
現在では人口増加に伴い、家の建設や道路の舗装等が頻繁に行われており、今まであまり手を加えてこなかったアジア側にも金融都市を構想中で、土地の高騰も近いうちにしていくだろう。
外交:多角的な平和外交を基調としている
EU加盟候補国であり、諸制度をEU基準にあわせ改定中(2013年1月から一定の規模の会社における国際会計基準と監査が義務付けを施行)である。また、イスラム教の国唯一のNATOメンバーであり、OECD(経済協力開発機構:Organisation for Economic Co-operation and Development)やOSCE(欧州安全保障協力機構:Organization for Security and Co-operation in Europe)、G20にも参入している。一方で、移転価格税制や過小資本税制等はOECDのガイドラインに準拠しており、関税制度はWTOに準拠しているため、少し複雑な面もある。
その他、EUとの間では関税同盟が組まれており、中東・北アフリカ・バルカン諸国計20ヶ国程とFTA(自由貿易協定:Free Trade Agreement)が結ばれている。トルコは欧米はもちろん、近隣諸国と友好関係(唯一イスラエルとの関係が微妙)を築いており、中央アジア・中東・北アフリカ・バルカン等へトルコ企業が積極的に進出もしている。
現在、オリンピックに備えイスタンブールに第3の空港を建設予定である。それに伴い、今使用されているアタテゥルク空港は縮小も行わず貨物空港便などをメインに使用しさらなる貿易拡大も見込まれる。
経済成長:世界17位
一人当たりGDPは約1万米ドルと高く、耐久消費財が売れ始める水準に達しており、購買力豊かで魅力的な市場である。トルコ経済はGDPの約7割が民間消費で構成される消費主導の経済であるが、この人口構成により今後も安定した成長が見込まれる。2012年9月には1TL=42円程だったのが、2013年2月には1TL=52円まで高騰している。駐在している身としては少し痛手の面はあるが、トルコの好調ぶりは嬉しい。2014年予定の大統領選挙に向けて今後さらに政策などが加えられ、株価も高騰していく見込みである。
めまぐるしく発展している成長国としてBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)に次ぐ、ネクスト11(バングラデシュ・エジプト・インドネシア・イラン・韓国・メキシコ・ナイジェリア・パキスタン・フィリピン・ベトナム・トルコ)に入っているトルコですが、今後の成長は本当に期待できるものがあります。冒頭で申したオリンピックが行われればさらにイスタンブール都市部の整備、新規建築等が行われマーケットのさらなる拡大も期待できます。一駐在員としてトルコの今後が楽しみで仕方ありません。
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