タクシム広場でのデモの様子とトルコ政権AKPについて

こんにちは、トルコ駐在員の田中隆道です。

5月31日金曜日から始まったトルコでの大規模デモですがイスタンブールでは警察との衝突が無くなり、毎晩9時から始まっていた、車のクラクションや鍋の底をたたいて音を出すような反政府のアピール行動も収まり、大分落ち着いたように思えます。

そのため、百聞は一見にしかずと思い、先週の日曜日(6月9日)にデモが行われていたタクシム広場に足を運んで来ました。今回はタクシムでのデモの様子とトルコの現政党について書いていきたいと思います。

私がタクシム広場へ向かったのは日曜日の16時ごろでした。タクシム広場に行く際、私の住んでいるレベントと言われる駅からメトロ(地下鉄)に乗り向かったものの、通勤ラッシュ時のように混んでおり、乗るタイミングが悪かったと思っていました。しかし、実際はそうではなく、来る電車のほとんどが混んでおり、電車に乗っている約7割の人がタクシムに向かっていました。

タクシムで電車を降りるとすぐに手拍子が始まり、一斉に反政府の掛け声で市民が盛り上がり異様な光景となりました。電車を降りてからタクシム広場にでるまで手拍子と掛け声は続き、人の多さから広場に出るまでに通常の2倍程の時間がかかったような気がします。


メトロ(地下鉄)から出てくる人々

広場に出るとすぐに目に入るのがトルコの国旗やトルコ語の書かれた旗などを振り、デモ運動に参加している人々でした。建物の上に上り旗を振る人、マントのように背中に国旗を巻きつけている人、国旗がプリントされたTシャツを着ている人、多くの人が何かしらを身に付けデモに参加していました。タクシム広場には溢れんばかりの人がおり、身動きを取るのも難しく、初めは人の流れに身を任せるほかありませんでした。


建物の上で旗を振る人々

私が行ったとき、タクシム広場にはステージのようなものが設置されており、演説が行われていました。あいにく私はトルコ語があまり達者ではないため、何が話されていたかわかりませんでしたが、集まった人々はその演説に対し、賛同するかのように腕を掲げたり、持っている旗をはためかしたりしていました。


タクシム広場の演説での様子

今回のデモでは、反政府デモとして騒がれていますが、現在、AKP(トルコ語:Adalet ve Kalkınma Partisi , 公正発展党)が政権を握っており、AKPは2002年度から政権を担当、2011年の総選挙では49%の得票率を得て単独3期目の政権を実現させました。その際、第3次エルドアン政権が発足し、宗教色を抑制し欧米との関係を深め、この10年間で年平均5%の経済成長を実現してきました。しかし、新憲法の制定などで世俗派からは「国のイスラム化への布石」とも警戒されているようです。

今後のデモに対する動きとして、AKP内ではデモ隊との対話に前向きな勢力もあり、エルドアン首相も最大都市イスタンブールのデモ隊代表者と12日に面会する予定であると明らかにしました。首相がデモ隊側と対話に応じる姿勢を見せたのは今回が初めてのようです。エルドアン首相は今まで反政府デモに対し、強硬姿勢で臨む構えを示してきましたが、今回の面会でどのような話し合いが行われるかが、デモの解決のきっかけとなり、トルコの株価などにも影響を及ぼすのではないかと考えられます。

最後に少し話は変わりますが、今回デモが行われているタクシム広場へ行き、デモが行われているタクシム広場の真ん中でビニールシートをひき、食べ物や仮面などを露店販売している人や国旗を数十本もち売り歩く人を多く見かけました。トルコ人の気質として、なんでも商売にしてしまうようなところはありますが、今回のデモのように少し危ない場面に直面しても、どこでも商売をするトルコ人のたくましさを感じました。

※イスタンブールでデモが行われているのは主にタクシム広場だけとなっており、隣の駅などは平穏な日曜日を過していました。また、日系企業の入っているような地区も騒動などはなく、通常と変わりない生活を送っています。

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