
■全て疑っては進まないが、全て鵜呑みには出来ない・・・
タイは売り手市場の労働環境にありますので、あまり面接に期間をかけてしまうと、他社への入社を決めてしまうことがあります。2次面接程度まではよくありますが、3次、4次と回数をかけていくと、どうしても期間がかかってしまいます。
日本側との面接が必要な場合、出来るだけ同じ日に面接を設定するなどし、期間が長くならないように調整するのが望ましくなります。
タイの応募者の経歴書を確認しますと、まるでたくさんの経験を積んでいるかのように書かれていて非常に期待をして面接をすると、表面的に経験をしているだけ、ということもあります。応募者のすべてを疑っていては面接に時間・期間がかかりすぎて、スムーズに進まず、結果として他社内定・辞退してしまう可能性が高いです。
しかし、要所は押さえて、応募者の書いていること、話を鵜呑みにしないことが大切です。
■よく聞くセリフ、ここに注意。
今回はタイで面接をしていて、よく聞くセリフをいくつか取り上げます。
1. 家族の仕事の手伝いが必要になり、会社を辞めました。
⇒「勤続期間が短いけれど、なぜ短期で辞めたのか?」「前職の退職から期間が空いているけれど、どうしてですか?」などの質問をすると、このようなセリフをきくことがあります。
確かに家族をより大切にする傾向にあるタイでは、家族の事情で退職するケースも本当にあるのだと思います。しかし、本当は別の理由であることも、中にはあります。
家族の事情で過去に退職をしている場合、今後も同様の可能性があるので、背景についてはしっかりと確認をしておくことが大切です。
また、そのような方は、「前職で何か嫌なことはなかったか」、を聞くことで、本当の退職理由を聞けるかもしれません。その場合、ストレートに聞くのではなく、「前職でもし気になっていたことがあれば教えてください。もし当社で改善できることがあれば、取り組みたいので。」というように聞くと、本心を聞きやすいかと思います。
2. 英語・日本語を使って仕事がしたいので、応募しました。
⇒特に語学を使って仕事をしたい、というのは応募理由を聞くとよく言われることがあります。「それでは、バンコクには様々な外資系企業や日系企業がありますが、そのなかでなぜ当社を選んだのですか?」と聞くと明確な答えが返ってこないことがあります。
面接は一方的な選択ではなく、お互いが選ぶものですので、そのようなケースでは、自社についてより詳細な説明をするのがよいかと思います。そのうえで、改めて自社の良いところを聞き、会社を選ぶときの基準などと照らしてきちんとした考え方をもっているかを確認すると判断しやすいのではないでしょうか。
3. 経験をもっと積みたいので転職したいです。
⇒「なぜ会社を辞めたのか?」、「当社への応募理由は?」などの質問をすると、良く聞くセリフです。
経験を積みたいのは、非常によいことで、決して悪いことではありません。
経験を積みたい、という考え方は、時に自分中心に物事を考えることにつながってしまいます。
究極的には人は
① 生活・お金を稼ぐことを目的として働く
② 技術・能力を高めることを目的として働く
③ 人・社会の役に立つことを目的として働く
の3つにわけられるかと思います。
① 、②は突き詰めると自分を中心に考えており、③は自分の周囲の人(家族、同僚、顧客)や社会を中心に考えています。
100%③の考え方の人は少ないとは思いますが、深掘りしていき、どの傾向が強いか、ということを確認しておくとよいかと思います。
面接でも、採用後の社員のとの面談でも、なかなか質問をしても聞きたい本心を出してくれることは少ないです。一つの工夫として、まずは自分の考え方や特に失敗、過去の過ちを開示することで、応募者や社員の側も、そのような経験を開示してくれることがあります。
以上
東京コンサルティングファーム
長澤 直毅
nagasawa.naoki@tokyoconsultinggroup.com