ラオスでの株主総会

 

お世話になっております。
TCFタイ兼ラオスの高橋です。

今週は、ラオスでの株主総会に関して記載していきたいと思います。

 

■株主数
ラオスの会社法上、非公開会社の株主数は2~30名とされています。一方、公開会社の場合は発起人である株主が9名以上必要となり、上限は規制されていません(2条)。
非公開会社の株主が30名を超える場合には、株主総会の特別決議を行うことによって、非公開会社としての形態を維持できます。(85条)。特別決議を行わない場合は、会社を解散するか、公開会社に変更しなければいけません。

また、ラオスでは、1人会社(Sole-Trader Enterprises)という概念が会社法上存在し、株主が1名でも会社を設立することが認められています(2条)。この1人会社と通常の非公開会社は別々に定義されていますが、実質はほとんど変わりません。個人、法人のどちらでも株主となることが認められています(78条)。複数の出資者を持つ場合には、非公開会社へ社名変更をして、非公開会社の規定に従わなければなりません(173条)。

 

■株主の権利
[自益権]
ラオスの株主は株式数に応じて利益の配当を受け取ることができます。ただし優先株式を発行している場合は、株主ごとに異なる配当金が設定されます。また、普通株主(普通株式を保有する者)は会社が解散した場合に残余財産を受け取る権利を有します(99条)。

[共益権]
共益権の主たるものは、日本と同じように株主総会の議決権の行使です。
また、会社の経営は取締役に委任されますが、取締役や監査役の選任・解任も株主総会で行われることによって、株主の利益が確保できるようになっています(99条)。

少数株主権
少数株主権とは、株主の権利の1つであり、一定以上の株式を持つ株主が行使できる権利のことをいいます。少数株主権の趣旨は、多数派株主や取締役が少数株主の利益を害するような業務執行を行うことを防止することにあります。ラオスの会社法では、取締役の解任請求権(118条)、株主総会招集請求権(136条)、議題提案権(139条)、などが定められていますが、持株数要件が比較的厳しく設定されているのが特徴です。

 

 

■株主総会

■株主総会の種類
株主総会については、136条から149条に定められています。株主総会の種類は、定時株主総会、臨時株主総会、創立総会の3種類があります(136条)。
定時株主総会は、最低年1回開催しなければならず、開催回数は定款に記載します。
臨時株主総会は、取締役が必要と認める場合にいつでも開催することができる他、下記の事項が生じた場合には、取締役は臨時株主総会を開催しなければなりません(136条)。

 

・ 取締役の過半数が臨時株主総会の開催に同意した場合
・ 株主が裁判所に申し立てを行い,、裁判所の開催命令があった場合
・ 発行済株式の20%以上の株式を保有する株主が開催を要求した場合

 

臨時株主総会の開催を要求する株主は、取締役(会)に対して書面を用いて目的を提示しなければなりません。この要求を受け取った取締役(会)は、要求書を受領してから30日以内に臨時株主総会を招集する必要があります。

 

創立総会は、株式引受人をもって構成される設立中の会社の意思決定機関であり、定款の承認、株式の種類や内容、取締役の選任などを決議します。ラオスの会社法の場合、創立総会は非公開会社、公開会社を問わず、開催する義務がありますが、それぞれ開催時期や招集期間、定足数の点で、異なります。

 

非公開会社の場合、会社の設立登記前に創立総会を開催します。その後、株式が全額払込まれた日から30日以内に設立登記しなければなりません(86条)。また、創立総会が開催される10営業日前までに、すべての株主に招集通知を送る必要があります(90条)。非公開会社では、株主の過半数が出席することによって創立総会の決議が有効となります(91条)。
公開会社の場合は、会社の設立登記後90日以内に創立総会を開催します。もし、この期間内の開催ができない場合は、登記官に対して、10日以内に通知をしなければなりません。この場合には、延期通知から30日以内に創立総会を開催する必要があり、それでも開催できなければ公開会社の設立は無効であるものとし、株主が支払った資本金をすべて返還しなければなりません。公開会社の創立総会は株式総数の3分の2以上保有する株主が出席したうえで、本社にて開催されます(181条)。

 

■招集権者と招集通知
取締役は、普通総会または臨時総会ともに招集日の5営業日前に、日時、場所及び議題等をすべての株主に通知し、招集通知を送付しなければなりません(137条)。

■開催場所
株主総会は、定款に別段の定めがない限り、株式会社の本社で開催されます(140条)。したがって、定款に定めることで、本社以外での開催ができるものと解釈されます。

■株主総会の決議
株主総会は会社の最高意思決定機関であり、役員の選任や決算書の承認、配当の決定、増減資など、会社にとって重要な事項を決議します。この点については、日本と同じですが、定足数や決議要件などの点で異なります(143条)。

 

 

[定足数]
会社は株主総会における定足数を定款に記載しなければなりません。定款に記載をしないとき、普通決議の場合は、発行済株式総数の過半数を所有し、かつ、2名以上の株主の出席をもって定足数となります(138条)。特別決議の場合には要件が加重され、発行済株式総数の80%以上の株主の出席をもって定足数要件となります(144条)。
なお、総会開始から2時間たっても定足数に満たない場合、議長は総会を中断する権利があります。この場合、延期された株主総会は、総会の中止後15日以内に開催されます(140条)。

 

[決議要件]
株主には、1株1議決権が与えられ、出席した株主の資本多数決により決議が行われます。ただし、決議の内容に特別な利害関係を有していると認められる者など、以下の要件に該当する株主には議決権は認められません(141条)。

・ 定款に規定されている場合
・ 会社と別段の合意がなく、株主が株式の一部に未払いがある場合
・ 株主が無記名株券の保有者である場合 (ただし、株主総会を開催する前に株主総会の議長や取締役に当該株券を提示する場合を除く)
・ 利害関係を有する株主の場合

普通決議の場合、株主総会に出席した株主の過半数の賛成によって決議が成立します(143条)。一方、特別決議の場合には、株主の80%以上が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上が賛成した場合に特別決議が有効となります(144条)。

 

[株主総会の議題]
議長は事前に承諾された議題順に沿って、会議を進めなければなりません。もし、順番を変更する場合には出席者の過半数の承認が必要となります。発行済株式総数の3分の1以上の株主から追加議題が提案された場合は議題の追加がなされます。また、議題内容の決定に時間がかかる場合は議題の検討を延期することも可能です(139条)。

 

[代理人による投票制度]
株主は株主総会の出席に代理人を任命することができます。しかし、株主総会を招集する前に当該任命が書面でなされる必要があり、その書面には、以下の項目を含みます(142条)。

・ 代理人の氏名、及び委任をした株主の氏名
・ 委任をした株主の保有している株式数
・ 株主総会の名称、期間、会場、代理投票の範囲

 

■株主総会決議の瑕疵
株主総会が法律に準拠して決議された場合、株主総会の決議は有効です。しかし、当該決議が会社に実質的な損害を与えた場合は、株主と取締役は裁判所に株主総会決議取消しの訴えを提起することができます。
株主総会決議取消しの訴えは、当該決議が承認された日から60日以内に提起しなければなりません(148条)。その後、裁判所は株主総会の決議の取消しを決定します(147条)。
取消の訴えとなる原因には、定款や会社法上の契約が違法であった場合、決議の採択の手続が違法であった場合、株主総会の通知に関して違法があった場合、などが含まれます。さらに、当該決議に反対した株主は、会社に損害賠償を請求することができます(146条)。

以上、弊社ではラオスビジネスにおいて進出サポートから設立後業務まで一貫してサポート可能でございます。
何かご質問等ありましたら、ご連絡頂ければと存じます。

 

 

 

 

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